六話
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と穏やかで和やかなものだ
違和感を覚えながらそんなことを考え、レイフォンは歩き続ける
(でも、これからの事だったら、いったい何の?????)
「レイフォン様ですね?」
唐突に声をかけられ、思考を中断して声の方を見る
そこにはつい先日、自分が後見をした相手であるクラリーベルがこちらを見て立っていた
レイフォンの感じる違和感が、少し大きくなる
「ああ、やはりそうでした。やっと会うことができましたよ、レイフォン様」
「ええと、お久しぶりですクラリーベル様。……その、その呼び方は一体?」
どうして自分が三王家の一員である人物から敬称で呼ばれているのか分からず、周囲に居る人物やや不可思議な目を向けてくる中、つい尋ねてしまう
それを受けてクラリーベルは顔に笑みを浮かべながら、その問いに答える
レイフォンの感じる違和感が更に大きくなる
「いやですわ。あれだけの実力を持つ相手を呼び捨てになど出来ません。それよりも、そんな堅苦しく呼ばないでください。親しい人物のように、クララ、と呼んで下さい。それはそうと、今日はお願いがあってきたのです」
「い、いえ。さすがにそれはちょっと……。それより、用とは一体何でしょうか?」
笑顔を浮かべて話すクラリーベルは非常に楽しげで、まるで好意を抱く相手と話すようであり、知らない人が見れば可愛らしく思えるだろう
だが何故だか、レイフォンはその顔をどこかで見たような気がしてならず、自分の意志とは反対に体は少し強張って行き。違和感がこれ以上ないほどまでに大きくなる
そしてそれは、相手が錬金鋼を復元させ、手に赤い剣を持った所で加速し、気付く
「この間は無様な所を見せてしまいましたので、直に私の力を見てもらいたいのです」
あの違和感は、デジャヴと言うものだと
そしてあの笑顔は、まるで自分を追い回すサヴァリスにそっくりだということに
「あの、出来れば遠慮したいなーと」
「クオルラフィン卿もずるいですわ。一人でレイフォン様と会うだなんて。教えてくれればいいものを」
「あの、ですから」
「ですから、私の全力を見て下さい」
もはやこちらの言葉など聞いていない。そんな所までサヴァリスだ
違いがあるとすれば、あちらにはやる気があって殺る気もあり、こちらにはやる気はあっても殺る気は無いことぐらい
そして相手の体中に剄が満ちたのを確認し、もうどうしようもないことを悟り、理解する
一人増えた、と
もはや諦めの境地に達しかけたレイフォンは、迫りくるクラリーベルを見ながら、半ば本気で出稼ぎの事を考え始めていた
『非常に可愛らしいですね』
「だがあれでは、まるでサヴァリスだ。好意の表し方が偏り過ぎとるわ」
言葉とは裏腹
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