六話
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嫌になる。後ろを意識して、力を見せつけようとした結果のこの体たらく
この年にして初陣を許された事に舞い上がっていたのか。それとも周囲にいる人物を見て勘違いし、自分なら大丈夫とでも思ったのか
一瞬、死を意識しかけたその瞬間????
?????自分を圧倒する強大な剄が、後ろで動いたのを感じた
自分の横を通り抜け、スローモーションの世界でなお遅さを感じさせぬそれは、背後にいたはずの自分の後見人のはず
手にはその身に余る大きさの剣を持ち、先ほどまでは微塵も感じさせなかった剄を纏い、駆け抜け、自分では傷をつけることしかできなかったそれを、抜き打ちの一刀の下に正面から二つに分断する
「大丈夫ですか?」
無表情に尋ねられたその一言に、なんとか返す
「……ええ、ありがとうございます」
既になりを潜めたそれは一瞬だったが、間近にいた自分には感じ取れた
他者を圧倒する威圧感。今までに会ったことのある天剣を自分に意識させるだけの剄量。乱れない断面を生み出す精錬された技の冴え
(ああ、おじい様の言葉に、間違いは無かった)
今ならば分かる。あの言葉に間違い等無かった。この自分の後見人は、レイフォンは、天剣に比するだけの力を持っている
「後は僕が片付けますので、クラリーベル様は休んでいてください」
「分かりました」
自分の体が少しは動けるようになったのを見抜いてか、レイフォンが声をかけてきたのに返す
それを受けたレイフォンが青石錬金鋼の剣を持ち、残った汚染獣に向かって行くのを、クラリーベルは熱い目で見る
(ああ、あなたは最高です)
自分が笑っているのが分かる
自分と同じ年代で有るというのに、既に天剣に比するだけの力を持つであろう相手に興味を持つなと言う方が無理なのだ
どうして隠すようなことをしているのかは知らないが、選ばれたなら史上最年少ではないか
戦う前まで抱いていた不満など既に消え、逆にそれによって自分の彼に対する関心は一層高くなっている
自分の胸に宿った熱い思いを意識し、そして芽生えた、未だ名づけるに値しない小さな感情を意識出来ぬまま、クラリーベルは剣を振るい続けるレイフォンを見続けていた
「これで終わり、と」
そういい、出来あがったお菓子を皿に乗せる
いつも通り、せがまれて作ってしまったお菓子を乗せた皿を持ち、レイフォンは弟たちがいるだろう大部屋に戻る
聞こえてくる話し声に、誰かいるのだろうかと思いながら部屋に行き、一瞬、理解が出来なかった
「レイフォン兄ちゃんすげー強いんだぜ。俺もいつかああなるんだー」
「料理作るのも上手いんだよー。リーリンには負けるけど」
「でも、おかしは兄さんの方がおい
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