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SAO−銀ノ月−
第五十三話
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ままバックステップで俺の射程外に退避する。

「『人間の偉大さは恐怖に耐える誇り高き姿にある』……という言葉を知っているかね? フフ、君はまさにそれだ」

 どこかの偉人が残したかのような言葉をヒースクリフは言い放ち、その十字剣を自分の身体の前に掲げるように構えた。

「君をこの世界に呼んで良かったよ。恐怖に耐えながら生き続け……この世界を超えるものを私に見せてくれた」

「……それはどうも。俺はこんなところ、来たくはなかったが」

 ――本当にそうか?

 自分では心の底から言ったつもりの言葉だったが、すぐに自分自身から疑問の声が投げかけられる。
そのことは少しおかしく思ったものの、そんなことはすぐ心の中から追い出し、日本刀《銀ノ月》を鞘にしまう。

 何故ならヒースクリフが今やっている構えは、一度見たことがあるヒースクリフの《神聖剣》のソードスキルの予備動作。
ヒースクリフは後は俺の攻撃を防御しているだけで、俺は時間切れによって頭痛が起きて隙だらけになるが……ヒースクリフはその前に俺を始末する気らしい。

 ならば、俺もそれを真正面から自身の剣技で受けきるのみ。
ヒースクリフは日本刀《銀ノ月》を鞘にしまった俺を、少し戸惑った表情で見たものの、すぐに冷静な機械のような表情へと戻る。

 もはや無駄口など必要なく、どちらのHPももう限界近くであり、十中八九俺たちの戦いは次の攻撃で決着が付く。

 俺の目の前にいるのは一万人を殺す『覚悟』がある男だ……こちらも本気で殺しにいかねば殺される……!

「……行くぞッ!」

「来たまえショウキくん!」

 俺たちの掛け声とともに、ヒースクリフの掲げた十字剣に真紅の光が灯り、《縮地》によって俺の姿が消え――これで使用限界数だ――最後の……いや、最期の攻撃が始まる。

 《縮地》によって高速移動をしながら日本刀《銀ノ月》の柄に手を伸ばす俺に、上方から鋭い殺気を伴った予測線が高速で俺に接近する。

 ――神聖剣単発ソードスキル《アルテリア・アンビエント》――

 俺の予想通りだった筈の攻撃は、予想以上の速度と威力の一撃となって俺の前に立ちはだかり、それを見ると俺は日本刀《銀ノ月》を鞘から引き抜く。

 この浮遊城《アインクラッド》における最強のソードスキルに対するのは、《縮地》による高速移動の勢いを加速して攻撃する抜刀術――

「――抜刀術《立待月》ィィィィッ!」

 もはや小手先の業などは不要だ、柄ではないかもしれないが正面から『最強』とぶつかり合うしかない……

「……なんて考えてると思ったかよ!」

 弱い自分には最後まで小手先の技を使うしかいないし、仮にヒースクリフと正面からぶつかり合っては結果などは火を見るより明らかだ。

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