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やはり俺達の青春ラブコメは間違っている。
第四章
このクラスはとりあえず、まあ……大変そうである。
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なにも不甲斐なさを感じたことはない。
 くだらなくて、くだらなくて。あっさり消してしまいたいくらいだ。
 ――その時、ガラッと音がして、雪ノ下雪乃は現れた。

「謝る相手が違うわよ、由比ヶ浜さん」

 その声は、透き通った清流のような、紛れもなく前述の通りの人物だった。
 全てが一度終わって、また作り直されたように感じられるほどの空気の変化が起こり、観客の視線はおろか、拙い大根役者の目さえ彼女のほう一点に集まった。
「由比ヶ浜さん。自分でやってみると言っておきながら私に相談して……。かと思ったらまた待ち合わせの時間に来ないなんて、連絡の一本でも入れるのが筋ではないのかしら?まったく、彼がうつったのかしら」
 その彼が誰なのか小一時間ほど問い質したく……はいはい俺ですね。わかってます!

「ご、ごめんね。あ、でもあたし雪ノ下さんの電話番号なんて知らされてないよ?」
「そう、だったかしら?それなら一概にもあなただけに否があるとは言えないわね。今回は不問ということにするわ」
 空気を読まない彼女ではあったが、そこからは速かった。
 あっさりあーしを言いくるめ、お山の大将気取りだの何だのと暴言を吐きつつも、最後に一言いい放つ、そして終わる……ハズだった。

「お山の大将気取りで虚勢を張るのは結構だけど、自分の縄張りのなかだけにしなさい。あなたの今のメイク同様、すぐ剥がれるわよ」
「……はっ?なに言ってんの?意味わかんないしっ!」
「……っ!?くっ」
 少しだけ目を濡らしたあーしは雪ノ下に掴みかかろうとしたのだ。驚くことでもない。
 仮に、もしこれが青春の一頁を書き綴った、コメディありきのライトノベルであれば、間違いなくここで物語は幕引きだろう。しかし、ここは現実である。
 雪ノ下に暴言浴びせかけられて、怒りを向けてこないはずもない。
 
 喧騒の中、俺はポケットから刃渡り数十センチのナイフを取り出して二人の方に軽く向けると、にっこりと満面の笑みを浮かべてからなるべく楽しそうに言った。

『突然なんだけどさ……。――俺に易しくて分かりやすいお説教をされるのと、このナイフで頬をいやらしく撫でられながら俺の中学生時代からの赤面必須なとっておき猥談を聞かされるの、どっちがいい?ちなみに俺は猥談推しょ……』
「「……」」
 二人が不服そうに「易しい説教で」と言うのを満足げに聞いてから、こっそりとナイフをポッケに戻した。
 そして由比ヶ浜さんに微笑みかけて、少し気まずいけれど、静かに告げる。

「……君が、信じた通りだったかなあ?」
「桐山くん、そのネームプレート気に入ってくれたんだね。……うん、信じた通り!やっぱり最悪の登場だね!」
「ありがとー、由比ヶ浜さん」
 じゃあ、説教が必要だなぁ。そもそも俺は由比ヶ浜
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