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Epilogue
Epilogue(全文)
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[1] 最後
【プロローグ】

 夕暮れの空に鳴り響いていた銃声は、すぐに耳の中で背景になった。
 耳元で弾ける音にも、隣の叫びにも、遠くからの咆哮にも聴覚が慣れる。息づかいや味方の足音が細かく聞こえてくる。頭の中の熱も手の中の銃に吸い込まれ、空の薬莢と一緒に放出される。鉄の弾丸が弾き出されると、次第に頭は冷えた。自分の弾丸が誰かの命を毟り取ったとき、すぐにそれを感覚した。
 砂漠の外れにある街も、日が暮れて冷気を纏おうとする。石と砂でできた壁に身を隠し、彼はマガジンを交換する。黒の小銃は砂を浴びるが、それに構っている暇はない。彼は細い道へ飛び出し銃弾を放って、次の壁に背中をつけた。いつの間にか近くの仲間がいなくなっていた。自分とは別の道で戦っているのかもしれない。あるいは死んだのかもしれない。目に見えずとも味方の銃声は聞こえてくる。
 頭だけを出して彼は通路の先を確認し、彼はそこに地面に立つ小さな円盤を見つけた。
 すぐに身を隠した。鉄でできた円盤が、同じく金属性の四本の足で自立する。大きめのフリスビーのような体の側面には赤色のカメラ、上部には二つの自動小銃。砂漠の街には不似合いな殺戮ロボット。耳を澄ませば、銃声の背景の上でカメラが散策する音とモーターの駆動音が聞こえてくる。カメラは三百六十度全方向をカバーする。
 彼は壁にあけられた穴と窪みを使って砂の家の上へ登った。うつ伏せに這って、狙いを定める。トリガーを引き込むと、鉄のボディに穴をあけてロボットは倒れた。最後に可動式のカメラが仇の姿を探そうとするが、見つける前にシステムがダウンする。彼は安全を確認して地面に降りた。
 砂漠の街に夜が訪れる。あちらこちらで光が夜空を照らし、叫びが沈黙を払ってのける。軍隊から支給された暗視スコープを装着し、彼は索敵を続ける。遠くのマズルフラッシュと銃声を頼りに敵を探した。次の敵を撃ち殺すまでに、三回地面の死体で転びそうになった。死体のうちの一つは鉄でできた機械の死骸だった。
 彼は加速する世界大戦の真っ直中にいた。


【第一章】

 舞う砂はアスファルトを覆い、高層ビルを破壊し、都市を砂漠に変えようとした。視界いっぱいに広がるのは地上十階を越えるビルが林立する大都市。その遺骸。どこからともなく風に乗って運ばれてきた砂が地面を、突発的に降るスコールが建物を侵食した。破壊された建物は長年の風雨に晒され角がとれる。焼け跡からの煤の臭いが流れ去っても、崩れた建物を直す者も、そこに住む者もいない。
 一面、砂色の世界に思えた。生きている色はどこにもなかった。運ばれてくるのに風で飛ばされない砂色と、朽ちたコンクリートの鈍い色。上を見上げて得られる空の色も、心なしか荒んでいる。かつての大都市は空襲に遭い、ロボットに襲撃され、命を失った。人の一人も見あたらなかった。街
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