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予言なんてクソクラエ
第十五章 予言の神秘
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それを許したというのか?ふと、そんな疑念を抱いた瞬間、何かを感じた。ゴーという地鳴りが腹の底に響いた。肌が粟立った。
 まさに今日なのだ。満の言う通り地鳴りが響いた。心のどこかに巣食っていた不安、満に対する不信が嘘のように消えていた。ゴー、ゴーという不気味な地鳴り。青い空にオレンジ色の光が何度も瞬く。稲妻が天から地に走る。もう間違いない。破滅はそこまで来ている。
 
    (三)
 三人の若者が車を降りた。一人はぐずぐず迷っているらしく、それを二人が促している様子だ。
「この群発地震だって教祖は予言していた。君も不安で僕らの誘いにのったんだろう。教祖はこう言っている。信じることだ。信じて祈ることが唯一の救いであると。信じる者だけが救われるとね。さあ、道場に案内しよう。」
躊躇していた若者も意を決したようにエレベーターに向かって歩み出した。その肩に手を置いてさっきの若者が語る。
「初心者は7階、僕らのいる8階は上級者用だ。最初は7階で始めるといい。指導者がいるからまず彼に紹介しよう。」
この時、ゴーっという地鳴りが響いた。幌付きトラックにいる石井も驚きのあまりちびりそうになったほどだ。冷や汗が頬を伝う。若者三人は地べたに這いつくばり、ひーっと悲鳴を上げた。
「さあ、早く、上に行こう。このビルは最高水準の耐震構造になっている。震度8まで持ちこたえるんだ。」
あたふたとエレベーターに乗り込んだ。エレベーターは7階、ついで8階に止まった。やはり7階8階の中間に何かがある。何故なら、10分ほど前、二台目のジープが乗り付け、精悍な若者達二人がエレベーターに乗ったがやはり7階を通過し次の8階のボタンは暗いままだった。エレベータの位置を示す灯かり消えるのだ。
 次に精悍な若者が現れたらドアの閉まる寸前で乗り込むつもりだった。石井もそう若くはないが、まだあんな若造に負ける気はしない。何としても秘密の階に行く気になっている。次の車が来るのを待った。入り口を見詰めた。
 その姿を認めた時、子供が走って来たと思った。小さな人影が走りこんできた。子供だった。身長は150センチにも満たない。しかしその顔には無精髯が蓄えられている。その目は血走っていた。少年はすぐさまエレベーターに直行した。そしてボタンを操作した。石井はトラックから飛び出し、ドアが閉まる寸前飛び込んだ。
「おじさん誰?」
「誰でもない。ただ秘密の階に行きたいだけだ。」
「あの階のこと知ってるの?」
「ああ、知ってる。」
「それじゃあ、一緒に行こう。」
エレベーターが上昇していく。8階の手前で止まった。やはりと思った。ドアが開く。石井はあっと声を上げた。精悍な男達が10人も控えていた。少年がエレベーターから降り立った。
 リーダーと思われる男が口を開いた。
「満さん、お待ちしており
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