第十二章 連続暴行魔
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いすがった。中でも五十嵐は男どもを追い越し、狭い道とカーブに手間取るバンに追いつき、バンの車体をどんどんと音を立てて叩いた。その時、バンが急停車し、あっという間に五十嵐を中に引き釣り込んだのだ。
息せき切って駆けつけた刑事達は急速に小さくなって行くバンを見送るしかなかった。待機していたパトカー3台が漸く公園入り口からやってきて、二台が逃走した黒のバンの後を追った。一台残ったパトカーの無線機に田村警部ががなりたてる。
「緊急手配、緊急手配。黒の大型のバン、等々力方面に逃走中。ナンバープレーは外されナンバーは不明。二人の男が拳銃を所持。それから至急救急車を手配願います。刑事一名胸に銃弾をうけ、かなり出血で重症。場所は・・」
ぜいぜいと息をしながら、小林は何かあった時にと五十嵐から聞いていた石井の連絡先に電話をいれた。あいにく石井は不在だったが、刑事だというと石井の携帯のナンバーを教えてくれた。捜査上の秘密にあたるが五十嵐に頼まれたからにはしかたがない。電話は一回の着信でつながった。
「石井君か、小林です。実は五十嵐君が職務中誘拐された。」
「なんですって。誰にです、それに何処で?詳しく聞かせて下さい。」
「あんたも元刑事なら、捜査情報をぺらぺら喋れんことは知っているはずだ。ここで言えることは、五十嵐刑事が杉田の一派と思われる複数の男達に車で連れ去られたということだけだ。我々も全力をあげて探す。ところで出頭を拒否したと聞いたが、こうなっては、その方が良かったかもしれん。君は君の思う通りやれ。」
「分かりました、有難うございます。それと小林さん、小林さんの携帯、非通知設定になっていますけど、番号を教えて下さい。何かあったら連絡したいのですが。」
小林はあっさりと番号を教えてくれた。
石井はすぐに事務所に電話を入れた。幸い龍二は出張から戻っていた。
「おいおい、いったいどうなっているんだ。佐々木に聞いたんだが、山口が誘拐されたって?何でまた山口が。」
「私もうかつでした。どうやら奴らはずっと僕を見張っていたらしいんです。」
「おいおい、待て待て。いったい奴らってえのは、何処のどいつだ。」
そういえば龍二は何も知らないのだ。石井もどうかしていた。「実は」と今日起こったこと、そしてこれまでの経緯を順を追って話した。龍二が唸った。
「いったいどうゆうことなんだ。教祖は愛する息子を守るためだけに行動しているわけではなさそうだ。まさに悪意を剥き出しにして動き出したってかんじだ。真治の恋人、その五十嵐っていう刑事はどこで何をしていたんだ。」
「そこまでの情報はもらえませんでした。」
「まあいい。今日は閉店休業だ。その東陽町のビルを見張ることだ。今どこにいる。」
「その東陽町です。双眼鏡も用意してあります。でもなかなか手頃な見張り場所がないん
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ