第十二章 連続暴行魔
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なことどうでもいいでしょう。それより、そんなにぱくぱく口に入れたら直ぐに食べ終わっちゃうじゃない。後15分もあるわよ。もっとゆっくり咀嚼して食べなきゃ。」
「いっぺんに胃に送り込まないと食べた気がしないんです。食べ終わったら、お茶でも飲みながらお話をすればいい。二人きりでお話したのは初めてじゃありません?」
「そうね、初めてかも。」
と言って笑ったが、無線で満が公園へ入ったと情報が入り、思わず体を強張らせた。見ると公園の入り口から、何度も写真で見た杉田満があたりを見回しながら歩いてくる。警戒する素振りはまったくない。
「振り返らないで。」
「僕の後ろ方面?」
「ええ、田村警部と西野警部補が後方からついてくる。みんな偽装を解いているわ。いい、杉田満があと10メートルの所にきたら、立ち上がって前を塞ぐのよ。合図する。」
「緊張しますね。あとどのくらい。」
「まだよ、まだ、まだ」
「……」
「……」
「もういいかい。まーだだよ。」
「馬鹿、こんな時に。・・・・あと数秒よ。・・・・さあ、立ち上がって。」
二人は杉田満の前に立ちはだかった。田村警部も後方15メートルまで近付いてきて、ちらりと鋭い視線を五十嵐に送った。それ以上、満に近付くなと言うのだ。小林刑事も、逮捕の第一声は田村警部に任せろと目配せした。これが大人の社会というものだろう。
杉田満は声もでなかった。突然、ベンチに座っていたカップルが立ち上がり道を塞いだのだ。すぐに大竹清美が裏切ったことを悟った。信じられなかった。呆然と刑事達が近付いてくるのを見ていた。
しかしここで捕まるわけにはいかない。満は奇声を発して若い女に飛び掛ったが、隣の男に脚を払らわれた。地面に叩きつけられ、男に腕をねじ上げられた。別の男が満をフルネイムで呼んだ。見上げると、でっぷりとした男が立っている。
男は逮捕状をかざし、御託をを並べている。どうやら年貢の納め時らしい。低く声を出して笑った。周りでは殺した女達がぎゃあぎゃあ喚いている。一人一人の顔を眺め、その場面を思い出し、笑い続けた。
次の瞬間、バンバンという銃声と「ぼっちゃん、こっちです。」という叫び声が聞こえ、腕を捻じ曲げていた若い男の強い力が、ふと消えた。そして傍らに倒れこんだ。
夥しい血が流れ、満の顔にも注がれた。
次いで女の悲鳴、「桜田さん、桜田さん」と呼びかける声、ふと周りを見回すと男達が地面に臥せ、或いは木の陰に身を寄せている。再びあの声が聞こえた。「坊ちゃんこっちです。」
入り口とは反対方向の公園内の道に黒いバンが留まっていた。その側面のドアが開かれていて、銃を構える片桐と樋口が見えた。満はおもむろに立ち上がった。満の後を追おうした男達の前の地面に銃弾がうちこまれる。満はバンに向かって走った。
急発進するバンに刑事達は追
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