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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第1話:ゲオルグ・シュミット3尉の初任務
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ゲオルグは洞窟の中の様子を窺う。

(敵の姿は・・・ないか。よしっ!)

ゲオルグは小さく頷くとハンドサインで分隊員に突入の指示を出す。
洞窟に突入すると、分隊の半分は左側、もう半分は右側の壁面に沿って
静かに奥へと進んでいく。

しばらく敵と出くわすこともなく、そのまま進んでいくB分隊一同であったが、
洞窟を200mほど進んだところで右側を行くハインツの手が挙がり、
分隊全員が立ち止まる。
ゲオルグがハインツの方に目を向けると、ハンドサインを送っていた。
ゲオルグは目を凝らしてハインツの手元を見る。

(なになに・・・右側に事前情報に無い横穴を発見・・・だって?)

想定していなかった情報にゲオルグは考え込む。

(横穴か・・・。 この横穴が行き止まりならいいけど、
 もし中枢へとつながる通路だったら・・・。どうしよう・・・。
 隊の一部を割いて横穴の調査をしようかな・・・)

だが、ゲオルグはその自分の考えを否定して首を振る。

(ダメだ。別働隊が帰ってくるまで分隊全部をここにとどめなきゃいけない。
 なら、隊長に報告して判断を仰ごうか・・・。
 いや、無線は使えないから報告はできない。と、すれば・・・)

「分隊長。どうします? 早く決断しないと予定に遅れます」

ゲオルグが考えている間にゲオルグの側に来ていたハインツが
小声で話しかける。
ゲオルグはそれに頷くと考えて出した結論を伝える。

「このまま予定通り進みます」

ゲオルグの答えに目を見開いたハインツがゲオルグの両肩をつかむ。

「隊長に報告するべきです。情報部からの事前情報に不足があった以上、
 作戦計画を見直すことが必要でしょう」

「ええ。ですが、通信は使えません。報告するのであれば伝令を艦まで
 戻さなくてはなりません。しかし、それでは時間がかかりすぎ、
 A分隊の制圧行動が始まってしまいます。
 であれば、このまま作戦計画通りに事を運び、敵をすべて捕縛するべきです」

「・・・わかりました」

ハインツは小さく頷くと元の配置へと戻って行く。
ゲオルグが手を上げると分隊は再び前進を始める。
やがて、洞窟の先にぼんやりと明かりが見えてくる。
中枢部の手前にある岩陰に身を隠すと、ゲオルグはそっと敵の様子を窺う。

(敵影は・・・見える範囲で15から20ってところかな。
 デバイスを持ってるところを見ると全員が魔法を使えるのか。
 厄介だけど想定の範囲内だし、今のところ奇襲は成功だから大丈夫だよね)

再び岩陰に身を隠すと、ゲオルグは時計に目をやる。
攻撃開始時刻が目前に迫っていた。
ゲオルグは攻撃を開始するべく分隊員に小声で指示を出す。

「時間です。攻撃を開始しますよ
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