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予言なんてクソクラエ
第三章 悟道会
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ンターネットで検索しているけど、死者の数が次々と跳ね上がってゆくわ。あの予言の通り、3万人に近付いていくのよ。まだ1万5千人以上としか報じられていないけど、今後も増える可能性があるって言っているわ。」
三枝の声は僅かに震えを帯びている。石井は押し黙った。なんと答えていいのか思いを巡らせた。

 予言が的中したのは今回で3度目になる。一回目はさほどではなかったが、2回目は衝撃的だった。フィリピ航空の旅客機が墜落し、239名の命が失われたのだが、その中に日本人観光客57人が含まれていたこと、そして日時もぴったりと言い当てていたのだ。
「まあ、落ち着けよ。たった3回だ。3回の予言が当たったからといって、奴が言っている世界を揺るがすような大災害が起こるという保障はない。」
言葉を発してから「保障」という言葉のまずさを思ったが後の祭りだ。
「それを言うなら、絶対に起こらないという保障もないと言うべきよ。私、あの人に会ってみる。会って確かめてみるわ。」
「おい、何を言っているんだ。あのストーカー野郎と会うっていうのか。どうかしてるぜ。」
「あの人は私を救いたいと言っているのよ。その厚意を無視することなんて出来ないわ。」
「かってにしろ。俺を捨ててストーカー野郎に尾っぽを振ろうってわけだ。」
「違うわ、その予言を確かめたいのよ。どうしても確かめずにはおれないわ。」
石井は頭を冷やすために、携帯を耳から離し、深呼吸した。この一月の磯田との冷戦でストレスを溜め込んでいたようだ。「俺を捨てて」などと女々しい言葉を吐いた自分を恥じた。怒りを静め、三枝に話しかけた。
「今日、会いたい。話がしたいんだ。」
三枝は黙り込み、それが思いのほか長く続いた。
「今日、彼と会う約束をしたの。さっき電話を入れたわ。やはり送り主は彼だった。」
石井は携帯切った。
     (四)
 その日、高田馬場のガード沿いにあるバーで、石井は酔いつぶれた。嫉妬と焦燥が強い薬を要求していた。今この時にも、三枝はあのストーカー野郎とどこかで会っている。悔しさが込み上げてくる。
 酒で混濁した頭に、ふと、保科の顔が浮かんだ。懐かしさがこみ上げてくる。会いたいと思った。そう思ったとたん、グラスをカウンターに叩きつけ、背筋を伸ばした。マスターは酔いどれがいきなりしゃきっとした姿をみて目を丸くしている。
「マスター、ジョッキに水をくれ。」
それを渡されると一気に喉に流し込み店を出た。しばらく歩くとむかむかとしたものが腹の底から込み上げて、「うわっおー」という咆哮とともに、水、アルコールそして胃液の混ざった液体を吐き出した。ぜいぜい息をしながら手の甲で唇を拭い呟いた。
「あいつと再会するしかない。再会して自首を勧めよう。黙って見逃すのはやはり卑怯だ。俺の心のマドンナよ、どうか潔白で
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