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予言なんてクソクラエ
第一章 目撃
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たような磯田にかかっては、龍二も形無しの場面もしばしばである。それは互いに心を許しあった関係だからこその馴れ合いともいえる。
 しかし、その磯田も石井に対してはどこか意固地になっていて頑な態度を崩さず、叔父と甥が仲良く喋っているのを、ちらちらと窺いながらも決して話に加わろうとはしない。石井も最初は気になったが、今ではそんな関係にも慣れてきた。
 磯田はテレビのリモコンを握ったまま立ち上がり、まだワイドショウのニュースに見入っている。佐々木が呆れ顔で龍二に視線を送る。磯田がテレビのスイッチを切ると、ぼそっと言った。
「今、ニュースに映っていた男は2年前、この事務所に来たお客ですよ。」
龍二が叫んだ。
「何だって、何でそれを早く言わないんだ。そうと知っていたら俺だって見たかった。最初に言えよ、最初に。お前はいつだって肝心なことを言わないんだから。」
「いえ所長、見覚えはあったんですが、僕自身、テレビを消すちょっと前まで思い出せなかったんです。」
こう言いながら、磯田は書棚に歩み寄り、「ええと、あいつのレポートは確かこのへんだったかな」などと言いながら過去のファイルを探し始めた。龍二が磯田の背中に苛苛した様子で言葉を投げかける。
「おい、磯田、それより、その男は何をやらかしたんだ?」
「えっ、なんですか?」
磯田はファイルの背表紙をなぞりながら、
「このファイル棚、何とかならないかな。もうちょっと整理するとか、せめてナンバーを付けるとか」
とつぶやき、佐々木にいやみたらしく視線をる。佐々木は佐々木で、ふんと鼻を鳴らし、
「二度と見返すようなファイルじゃあるまいし」
とやり返す。
「現にこうして見返しているじゃないか。」
「事務所開設以来初めてじゃない。」
 磯田は、三歳年下の行かず後家、佐々木に密かに思いを寄せている。しかし、その心情をこうした形でしか表現出来ないのだ。龍二は、自分の質問を無視している磯田に苛苛をつのらせている。石井がそれに気付き、にやりとして聞いた。
「磯田さん、その男は事件の主役ですか?それとも目撃者とか犯人の知人かなにかでインタビューを受けていたんですか?」
いつものように、磯田は一瞬間を置いてから口を開いた。
「まあ、良く分からんが、事件の主役みたいだったな。」
龍二が諦め顔で聞いた。
「だからー、一体全体どういう事件だったんだ。」
「殺人事件みたいでしたけど……考えごとしていましたし……」
磯田は口ごもるばかりで、埒が明かないと思ったのか、佐々木がテレビのリモコンのスイッチを押した。
「どっかのチャンネルでまたやっているかもしれないわ。」
画面が映し出された。次々とチャンネルを変える。その時、突然石井が叫んだ。
「あれっ、ちょっと待って、佐々木さん。チャンネルを前に戻して。」
佐々木
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