第八話 〜初陣〜
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いた分、黄盛が少し頼もしく思えた。
『我々は本当にあの村を襲うのでございますか?』
『あ?』
ガツッ
『あだ!?』
急に洋班が黄盛の顔面に拳を叩き込む。
その一連の流れに僕はついていけずに固まった。
『な、何をなさいますか!?』
『てめぇが武官のくせに腑抜けてるから兵士も腑抜けになるんだろうが!腰いれろ!』
『は、はい!』
黄盛がすぐ折れてしまって、完全に村に攻め込む流れになった。
『ま、待ってください!』
『今度はなんだ!?』
僕はその流れを察してすかさず声をあげる。
『今目の前に見える村はどう見たって賊ではございません!現に門番がいながら正面の門は開け放たれているではありませんか!』
『…てめぇ、まだ自分の立場がわからねえのか』
『…ッ』
洋班が僕に馬を歩かせる。
殴られる。
そう思った瞬間、あの痛みが頭を過ぎり背中が凍った。
その間に洋班が馬を寄せてくる。
まずい。
僕は目を瞑った。
『…父さんがどうなってもいいのか?』
『…ッ』
だが予想とは裏腹に殴られる事は無く、変わりに耳元で囁かれる。
僕は一瞬殴られなかった事に安堵したが、すぐに言葉の意味を理解し絶望した。
『…ふんっ』
洋班が馬を返して兵士達の方へ向き直る。
『…待って』
『あ?』
だが、僕はやりきれない気持ちを抑えられず、最後に洋班の良心にかけて足掻いてみる。
『…子供だっているんだよ?』
『賊の子なんぞ知るか』
だが、返ってきた言葉は残酷な言葉だった。
…駄目なのか。
『お前ら!もう一度言う!これより荀山に住み着く賊を撃つ!従わねば死だ!いいか!』
『『おおー!』』
『よし、この洋班に続け!行くぞ!』
『『おおー!』』
洋班が僕の隣を駆けて行った。
そして次に隣を駆けて行ったのは
…。
『洋班様に続け!』
黄盛だった。
そして…。
オーッ!
ドドドドッ
それは無数の顔も知らない兵士達だった。
僕はその人の流れの中でただ一人その場で動きを止めていた。
皆僕を避けて走って行く。
僕はふと顔を上げてみる。
…だが目が合うものは無く、見る顔は全てやり切れない表情を浮かべていた。
『…なんで』
そんな言葉が漏れた。
みんな思っている事は同じだ。
この戦に何の意味があるのか。
この蹂躙劇に何の意味を見つけれるのか。
…無意味だ。
ただ上の人間の自己満足だ。
その為の戦。
そしてその自己満足を満たす為に自分達は目の前の平和な日常を踏み躙らねばならないのだ。
それがわかっていて…。
それをこれだけの人間がわかっていてどうして…。
彼らは人殺しをしに走
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