第八話 〜初陣〜
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とふざけた事ぬかすなよ!?いいか!!』
『は、はいっ!!』
くそくそくそッ!!
胸くそわりいったらありゃしねえ!!
なんだ奴は?!
こっちには黄盛がいるんだぞ!?
斬られるのが怖く無いのか!?
俺は出発してからというものずっとこの調子で荒れていた。
ふと前を行く豪帯に目を向ける。
『ッ!』
『…あ?』
豪帯と目が合う。
だが、それに気付いた豪帯は慌てて目を背けた。
多分俺が怒鳴り散らしているのが気になったのだろう。
…だが、それすら今は腹立たしく感じる。
元々は貴様らの凱雲のせいでこんな胸くそ悪い思いをしてるんだ。
これが豪統なら真っ先に殴り倒してやるところだが…。
『…』
『…』
『…ふん』
あの程度の事で頭に包帯を巻いているような雑魚に構う事はない。
そうだとも。
この判断は決して奴は関係ない。
あくまで俺の気紛れだ。
『黄盛!』
『は、はい!』
『…賊を見つけたら容赦無く殺せ。いいな?』
『わ、わかっております!手など抜きません!』
そうさ。
いざとなれば黄盛がいるんだ。
凱雲ごとき恐ろしくもないわ。
『…ふん』
『…おい。着いたのか?』
『…』
『あの山が荀山のようですな』
嘘だ。
僕は地図を見直した。
『…なら、あれが賊の根城なのか?』
『…だとは思いますが。』
だが、地図では確かにここが荀山の麓だと記されていた。
僕はそれに驚愕のあまり言葉が漏れた。
『…あれが…賊の根城?』
僕の目の前に広がっていた光景は根城というには余りにもお粗末で、そしてのどかな村だった。
一応防衛目的とされているであろう木で出来た柵と門は見えるが、その柵の外には綺麗に整備された農地が広がり、そこには農夫達がせっせと昼の耕しに精を出していた。
そしてその間を縫って駆けるように子供達が走り回っている。
さらに門には見張りが見えるものの明らかに此方を目視しているはずであるのにも関わらずその役目は機能しておらず、門は開け放たれていた。
…話では聞いていたが、これを賊の根城などとは言えないだろう。
なんてのどかな村なのだろうか。
『まぁいい。さっさと潰すぞ』
『『え?』』
洋班の言葉に不意をつかれたのか僕と黄盛の疑問の声が被さった。
なんだって?
『お前ら!これより荀山に住み着く賊を根だやす!いいか!』
兵士の中からも困惑のざわめきがおこる。
僕も自分の耳を疑った。
『なんだ貴様ら!これから賊退治だぞ!気を引き締めろ!』
『よ、洋班様?』
『なんだ黄盛!?』
黄盛が洋班に声をかける。
そうだ、流石に目の前の村は襲えないだろう。
そう思って
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