第八話 〜初陣〜
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た賊退治だ。
俺は腰から剣を抜き取る。
『へへ、やっとこいつが試せるぜ』
親父には経験だの名声だの言われてここまで来たが、そんなのはどうだっていい。
俺はこの名剣で人が切れればそれでいい。
この輝く刀身が人の命を殺める瞬間が堪らなく待ち遠しい。
『はっ!!』
ヒュッ
剣を降り下ろせば風を切る音がする。
その音色が心地よかった。
『へへへっ…ん?』
遠くからこちらへ向かって来る見覚えのある巨大な人影が見えた。
あれは…凱雲だ。
表情は影になって見えないが、あの図々しい程威厳を放つ歩き方は紛れもない奴だ。
何度見ても忌々しい奴だ。
…だが、この一件さえ終われば州都に戻って真っ先に奴をこの国から追い出してやる。
精々今の内に粋がっているんだな。
俺は口元を歪ませるのを必死に堪えながら凱雲の横を通り過ぎようとする。
…が、突然目の前を丸太のような腕が遮る。
こいつ…。
『おい、なんのつも…』
凱雲の顔を覗きむ。
『ッ!?』
一瞬で背筋が凍った。
荒い鼻息を立てながら顔面は紅潮で赤黒く、眉間は深く皺が寄り、顔の至る所が歪み、ギョロリとした目が此方を視線で射殺さんとばかりに捉えていた。
その顔はまさに鬼のようだった。
『う、うわぁ!!』
思わず大声を上げて尻餅をつく。
『な、な、な、なんだ!!』
『…』
『なんなんだよ!!』
それしか言えなかった。
今にもとって食わんとばかりなその異様な雰囲気に相手が人間である事すら忘れていた。
尻餅をついて怯えていると、凱雲はのそりとこちらへ身体を寄せてきた。
喰われる。
そう感じた瞬間身体は固まり言葉が出なくなった。
だが、目だけは離す事ができなかった。
そしてとうとう鬼の顔がすぐ目の前まできた。
『あ…あぁ…』
情けない声が空いた口から漏れた。
見開かれた目からは涙が自然と溢れていた。
『小僧…ッ!』
『ひっ!?』
今まで聞いた事も無いようなドスの聞いた声で声を掛けられた。
もう駄目だ!
そう思った。
『次に豪帯様に手を出してみろ…ッ!例え首一つになろうと貴様の首をねじ切ってやる…ッ!』
『ひぃ…ッ!ひぃ…ッ!』
『『わかったか!!!!』』
鬼の咆哮が空を駆けた。
『ひゃぁ、ひゃあいぃぃ!!』
そしてか細い声が空を舞った。
それから鬼はゆらりと俺から離れていった。
そしてその後異様な咆哮に呼び寄せられた黄盛が来たが俺は当分立つ事も喋る事もできなくなっていた。
『…よ、洋様?お気分はいかがですか?』
『最悪に決まってんだろ!!』
ドカッ
『あだっ!』
『二度
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