第八話 〜初陣〜
[13/13]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
殺しておいて平気なのかよ!?』
それを実行した張本人に向かってその言葉を投げつける。
返ってくる言葉なんてなんとなくわかっていた。
だが、それでも叫ばずにはいられなかった。
『賊を成敗したんだ。何を気にする事がある』
『クッ…!』
僕は悔しさのあまり地面に顔を擦り付けた。
言っても無駄。
この男にはここに横たわる人達なんてどうという事は無い存在なんだ。
同じ人間…そんな事さえ彼の中には無いんだ。
『ちくしょう…ッ』
結局止める事なんてできなかったんだ。
彼に目をつけられた時点で彼らの命運は決まっていた。
なんて言ったって彼は偉いんだ。
そして僕らの関には彼を止めれるだけの立場の人間がいないんだ。
『ちくしょう…ッ!』
『…ふん』
洋班は兵士達の中に姿を消していった。
『お、お前ら!関へ戻る準備をしておけ!』
そしてそれを追うように黄盛がついていった。
『こ、こいつどうする?』
『どうするって言われても…』
『はなせよッ!』
『あっ!』
僕を押さる兵士達から腕を振りほどく。
『…くそ…くそぉ…ッ』
『…なぁ坊主』
地面に伏して涙を流す僕に兵士の一人が声をかけてくる。
『気持ちはわからん事は無い。だが、悪い事は言わん。深く考えるな』
『…ッ』
兵士達は皆その場から散り散りになる。
"そんなんだから"
兵士の好意の言葉にそんな言葉が頭を駆け巡った。
僕はそのから暫く立ち上がる事ができなかった。
こうして僕の初陣は終わった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ