第八話 〜初陣〜
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今ので何と無く洋班に何かで殴られたのはわかった。
僕は血のでる鼻を抑えながら洋班の方を向いた。
すると洋班は自分の馬から降りてこちらに向かってきていた。
手には柄に収まったままの剣が握られていた。
きっとこれで殴られたんだろう。
何故か僕は迫り来る洋班に恐怖を感じるどころか頭の中で冷静に状況分析をしていた。
洋班が目の前に来て胸ぐらを掴む。
『てめぇ、俺に向かって無視とはいい度胸じゃねえか』
『…すみません』
『あん!?』
しまった。
関を出てからは洋班に気を使う意味でできるだけ丁寧な敬語を使うようにしていたが、急な事で油断していたのか不貞腐れてしまった。
その感情の籠らない返事をされて腹をたてたのか、洋班はまた手に持った柄入りの剣を振り上げる。
…当たり前か。
僕は潔く殴られる準備をした。
ドカッ
『グッ』
今度は頭に強い痛みを感じ、そのまま地面に突っ伏した。
頭が冷やっとするのを感じた。
痛みを堪えながら殴られた場所を触ってみる。
するとそれと同時にツーっと顔に何かが垂れて来た。
そこで何と無く今どうなってるのかが予想できた。
一応違和感のある頭を触った手を見てみる。
すると手には赤い血がべったりとついていた。
だが、まじまじと見ている暇を洋班は与えてくれなかった。
突っ伏したままの僕の首元を横から片手で洋班が引っ張りあげようとする。
だが、完全に脱力した僕の体を片手では持ち上げられないと知るともう片方の手から剣を離し、両手で襟元を掴みあげた。
『おいおい、この程度でへばんじゃねえよ。なあ?』
駄目だ。
頭から血が出てる事を確認した瞬間、何もかもがどうでもよくなった。
ただただ頭に浮かぶのは次頭に強い衝撃を受けたら自分の頭はどうなってしまうのか。
また、今頭はひんやりとした感覚があるが、表面の頭皮が傷ついただけなのか、それともどこか割れてしまったのか。
そんな事が頭をぐるぐるしていた。
『おい!聞いてんのか!』
洋班が拳を振り上げる。
あ、駄目かもしれない。
そう思った僕はその拳を虚ろな目で見ていた。
『…』
『…っち』
だが、洋班は拳を崩し僕を地面に放り出した。
投げ出された体を反射で腕が地面を捉えて支える。
『ウグッ…!』
だが、その反動が伝わり何とも言えない鈍い痛みが頭に広がる。
頭がさらにひやりとして気持ち悪くなる。
…これは本当にまずい怪我をしたのかな。
そんな事をふと思った。
『洋班様、もうよろしいのですか?』
『ふんっ。すぐへばりやがってつまらねえ…。まだ親父の方が殴りがいがあるのによ』
何かよくわからないがよかった。
今の状況で殴られでもしたら本当にどうなってたかわからな
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