暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
無印編 破壊者、魔法と出会う
19話:別れは辛いが、だからこそ再会は楽しみになる
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「…………」

鼻で長く息を出しながら、両手を目の前で開いていた。
しばらく見つめていたが、次第に下唇を噛み、噛む力を強くしていった。その表情は丁度三日前の時と同じ、後悔しか見えないものだった。

「…っ……」

顔を上げ、背中を壁に預ける。先程まで開いていた手を、力強く…端から見たら爪が食い込んで、血が出るんじゃないかと思われるぐらい強く、拳を握っていた。

「……くっそ…」

目をつぶり、奥歯を軋ませる士。

「くそぉ!!」

そう叫んで、拳を壁に叩き付けた。ガァンと派手な音が出て、部屋に響き渡る。

「結局…何も守れなかったじゃないか…!」

プレシアも…フェイトが守りたかったものも……過ごしたかった筈の幸せを……
そう呟きながら、頬から一筋の雫が落ちる。

「くっそぉ!!」

三度叫んでまた拳を叩き付ける。士の叫びと壁から出た音が、部屋に響いた。


















―――数日後

俺の怪我も一通り治り、包帯も取れた頃。俺達はアースラの会議室にて、簡単ながらも表彰式を執り行っていた。

「今回の事件解決について、大きな功績があったものとして、ここに略式ながら、その功績を讃え、表彰いたします。高町 なのはさん、門寺 士君、ユーノ・スクライア君。ありがとう」

その言葉と共に、リンディさんが表彰状を差し出す。目の前にいるなのはが、緊張しながらも前に出てそれを受け取る。
それと同時に会議室にいたアースラクルー達から拍手が送られた。

まだ小学生のなのはにはまだ経験の少ない式が終わり、俺達はクロノについていきながら会議室を去った。
その途中、なのはが足を止める。前を歩いていたクロノも後ろにいたユーノも、続いて立ち止まる。

「クロノ君。フェイトちゃんは、これからどうなるの?」
「事情があったとは言え、彼女が次元干渉犯罪の一端を担っていたのは、まぎれもない事実。重罪だからね、本当だと数百年の幽閉が普通なんだが…」
「そんな!?」

クロノの言葉に、なのはは反応を見せるが、その肩を俺が軽く掴んで止める。

「落ち着けなのは。クロノの話はまだ途中だぞ」
「え?」
「そうはならないって言ってるんだ、クロノは」

そう投げかけながらクロノを見ると、クロノは黙って頷いた。

「状況が状況だし、彼女が自ら意思で次元犯罪に加担していなかったことは、プレシア自身もこれまでの事からもわかっていることだ。
 後は偉い人達に、それをどう伝えるかなんだけど…その辺にはちょっと自信がある。心配しなくていい」
「クロノ君…」
「何も知らされず、ただ母親の願いを叶えようと一生懸命だった子を罪に問う程、時空管理局は冷徹な集団じゃないか
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