虚空爆破
Trick13__実は私、薬が効かない体質なんです
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
その時には既に信乃の瞳は碧くなっていた。
風を見るため、感じるために、本気を出すために碧空の眼へと変えた。
その後、後ろを振り向いた。自傷の笑いは消えて無表情になっていた。
「それで、なんで逃げなかったんですか?」
信乃の後ろには爆発に驚いて腰を抜かしている少女。
その右手には扇子が握られているが、爆発の余波で少し穴があいている。
信乃が怒っていた。
爆弾があるという危険な状態にも関わらず、風紀委員の注意を無視した少女に。
残っている理性を総動員して怒りを抑え込み、やっとの表情がこの無表情だった。
「あ、あなた! わたくしを常盤台中学の婚后 光子と知って
質問してますの!?」
(知るかボケ)
思わず出しかけた言葉を飲み込む信乃。
腰を抜かして座ったままだが、しゃべり方だけは威張り散らしている。
質問の内容にもまともに答えていない。
そして逃げなかったことに対して反省も後悔も感じさせないことに
信乃は怒りを通り越して呆れ、少女と会話するのを諦めた。
「・・聞くだけ無駄だな・・・」
信乃は少女、婚后を無視して階段を下りていった。
「待ちなさい! あなた、わたくしを置いていくつもり!?」
信乃は振り向かず、警備員のもとへ行き、“初春たち”の保護を
お願いした。
その後に爆弾魔の、ぬいぐるみを持っていた少女と直前まで一緒にいた
くそったれ野郎の魂を探して追いかけた。
**************************************
信乃、御坂、初春が事情聴取に向かって歩いていつ途中、御坂が口を開いた。
「信乃にーちゃん、さっきあいつに言った言葉だけど・・」
≪あいつ≫とは爆弾魔のことだろう。
爆弾魔に言った言葉を聞いて御坂は信乃の4年間にあったことを想像していた。
壮絶であっただろう経験をしたからこそ言える言葉と思っていた。
「あー、あれね。深く考えないでください。私の人生経験が元で言っているわけじゃ
ありませんから」
「え?」
予想外に、信乃は軽い返事をした。
「あの言葉はですね、私の母が若いころ、自暴自棄になっていたときに言われた
言葉らしいです。私はそのまま言っただけです。人類最強の受け売りをそのままね」
「は? 人類最強?」
「とにかく急ぎましょう」
信乃は誤魔化すように歩く速度を上げた。
「「待ってよ(ください)!」」
御坂と初春もすぐに追いかけるように歩き出した。
****************************************
翌日
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ