四話
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レイフォンは家である孤児院で年下の子供たちにせがまれてお菓子をつくっていた
小さい頃から家事の手伝いをしてきたレイフォンは、掃除洗濯買出しに料理と一通りの家事ができる。流石に幼馴染のリーリンには劣るものの、その腕は確かであり、押しに弱いレイフォンはよく、子供たちからお菓子を頼まれてしまうことが多々ある。そしてその度にリーリンから文句を言われるのはもはや恒例である
子供たちにお菓子を作り終わり、それを渡してすぐ、リーリンが声をかけてきたのでレイフォンは慌てた
「わあ! な、何か用、リーリン?」
「? うん、そうなんだけど、どうかしたの?」
「い、いや、何でもないよ、うん。それよりも何の用?」
あまりにも挙動不審なレイフォンが怪しかったため、必死に隠そうとしている背中側を覗き見る。そこにはまだ洗い終わっていない器具が出ており、いつものようにレイフォンが子供たちにお菓子を作ってあげたことに気づき、溜息が零れる
「まったく、いつもご飯を食べてすぐにお菓子はダメって言ってあったでしょ。なんで作っちゃうのよ」
「ええと、その。………ごめんなさい」
「レイフォンは甘すぎるのよ。だから子供たちが味をしめて頼んでくるんだから。ちゃんとしてよね」
「う、うん。分かったよリーリン。それより、何のようだったの?」
「まったくもう。ああそうだ、ちょっと買い物に行って欲しかったのよ。卵が少なくて、明日の朝の分が無さそうなの。今朝見たときはまだ有ったように見えたのに、見間違えてたみたい」
いつもならこのままもう少し文句を言われるのだが、今日は頼みごとがあるお陰でそれが少ないらしい。なのでそれに乗じてこの場を去ろうと決めた。戦略的撤退である
「分かったよリーリン。じゃあ、行ってくるね」
買ったものを入れる袋と財布を持ち、早々とレイフォンは買い物に出掛けて行った
「最後に卵を買って終わりかな」
リーリンに頼まれた買出し。卵だけじゃなく、少なくなっていた物も一緒に頼まれたので先にそれを買い、割れやすい卵を今から買いに行くところである
少しでも安いところで買いたいため、今いる店から少し歩いた所の店に入り、卵を手にとってお金を払い、袋に入れる
買出しの為に夕飯の用意はリーリンに任せてしまったため、今日のおかずは何だろうなーと考えつつ、店があった通りの角を曲がり孤児院の方に向かおうとし
曲がってすぐ、サヴァリス・クォルラフィン・ルッケンスがこちらに向けて凄く良い笑顔を向けているのを見てレイフォンの思考は停止した
「やあレイフォン・アルセイフ。この間の戦場以来だね」
朗らかに話しかけてくるサヴァリスの声で、停止していた思考が戻ると同時にレイフォンは足を止めず、咄嗟に返事を返した
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