第三十二話 図書館その四
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「怪談みたいでね」
「妖怪さんとか幽霊さん夏じゃなくても出るわよ」
「けれど夏って感じよね」
美紀は日本の巷のイメージから聖花に答えた。
「そうよね」
「まあね、うちの学園はそうしたお話が一杯あるから夏だけじゃないって感じもしない訳じゃないけれどね」
妖怪や泉のことを隠しての言葉だ。
「そういうのはね」
「まあうちの学園はね」
美紀も聖花のその言葉にはそうだと返す。
「色々なお話あるからね」
「そうよね、あちこちにね」
「学校の中に河童とかのお話あるのってうち位じゃないの?」
「そうかも知れないわね」
「遠野みたいよね」
「あそこね」
「私まだあそこには行ったことがないけれど」
美紀は首を少し傾げさせながら二人に述べた。
「どんな場所かしらね」
「河童さんとか座敷わらしさんとかね」
「そういう妖怪がいるらしいけれど」
「そうみたいね、うちの学校には座敷わらしちゃんは」
「いるみたいね、どうやら」
「確か幼稚園だったわね」
「そう、あそこにね」
そこにいるというのだ、座敷わらしは。
「いるみたいだけれど」
「座敷わらしちゃんは私達には見えないわよ」
愛実がこう美紀に答える。
「残念だけれどね」
「あれよね、私達がもう大人だからよね」
「高校生だと昔はもうね」
愛実は自分達のことを話した。
「大人だったから」
「そうよね、十六になるとね」
「昔は結婚して子供がいる歳だから」
今も十六になれば結婚出来る、生物学的には何時でも母親になることが出来る年齢であることは間違いない。
「もう見られないわよ」
「そうみたいね」
「だから私もね」
「私も、あの娘は」
愛実だけでなく聖花も言う、その座敷わらしについて。
「見えないわ」
「全然ね」
「何かよく言われるわね、幼稚園で子供達が一緒に遊んでるって」
「言われるわね、時々だけれど」
「どうやらね」
「見てみたいけれど、もう無理だから」
子供ではない、だからだ。
「子供に戻りたいわね」
「私でも無理かしら」
ここでこんなことを言った愛実だった。
「背があれだから」
「愛実ちゃんは無理でしょ」
美紀は自分が小柄なことから言った愛実にこう返した。
「やっぱりね」
「無理かしら」
「だって胸が」
背ではなくそこだった、美紀が見て言及するのは。
「大きいから」
「胸が大きいのはちょっと」
「関係あるわよ、子供の胸は大きくないでしょ」
これもまた大人になった証の一つだ、ただし個人差がある。
「それだけ大きな胸だと子供って言えないわよ」
「私そんなに胸大きいかしら」
「グラビア出来る位にね」
そこまでの大きさだというのだ。
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