暁 〜小説投稿サイト〜
Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#6 覚醒
[1/4]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
――……目の前の空間が止まった。
それ以外に、表現できる言葉が無かった。それは、悪夢の光景のまま、止まっていた。そう、サラに飛び掛っているモンスターが、その爪が、牙が……サラに迫るほんの数10cmの距離で、止まっていた。ただ、止まっているのではない。……空中で、固まっているのだ。
時間そのものが、止まっている。そして、何処か色も失われた様だ。
(な……、いったい、なにが……??」
突然の事でアルは理解できなかった。だけど、目の前にいるサラが心配で堪らなかった。恐怖から 涙を流し、ぎゅっ と目を瞑っている彼女の事が……。
(さ、サラっ! な、なんで、なんで動けないっ! 動けないんだっ!!)
必死に、サラに手を伸ばそうとするが、全く動く事が出来ない。先ほどのモンスターの一撃のせいで、等では無い。 自身の鼓動すら感じられなかった。今、自分は生きているのか、死んでいるのかさえ判らなかったのだ。
そんな時だ。
『アル………、 我が…を、……受……継ぎ…… よ……』
(ッ!!!)
何か
(
・・
)
が聞こえてきた。いや、身に覚えがある、自分は、この声を覚えている。これは、いつか、確かに聞いたことのある声だ。だけど、何故今、このタイミングで
あの声
(
・・・
)
が聞こえてくるのかは判らなかった。
(な、何なんだ……? いったい……これは!)
突然モンスターに襲われ、サラが襲われ、そしてこの時が止まると言う有り得ない現象が起き、あの暗闇の中で訊いた声が流れてきて……立て続けに起きた事によって、アルは平静を保てずにいた。
そんな中でも、あの声は聞こえてくる。
『おちつけ…… 我が…… よ……』
その声は、あの時同様に 途切れ途切れであり、内容が聞き取れない。肝心の所が聞えない。だけど、次の声を訊いて アルは意識を更に集中させる事になる。
『今こそ……
力を
(
・・
)
…… ……
に
(
・
)
解放しろ……』
そう 力、そして解放と言う言葉だった。これまでに無かった単語だったからだ。
(な……なに?)
――……力を解放する。
その意味は判る。だが、一体何のこと、何の力なのかが判らなかった。そして、声が続く。
『解放するん…… ……よ…我が声に…… その身を委ねろ』
途切れ途切れの声が、徐々にではあるが、繋がりだした。聞き取れる範囲まで。
(力……? 一体なんの事なんだ! ……お前は、お前はいったい)
アルは意識を集中させてはいたが、……酷く動揺もしていた。
《解放》《身を委ねる》
正直、どうすれば良いのか、何をすれば良いのかが全くわからないのだ。
だけど、次の声で、動揺は消し
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ