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Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#6 覚醒
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た。聖なる盾は邪悪なる者の侵入を拒む。……大切な人に指一本、爪一本でも触れさせない。

 モンスター達は、突然壁が現れたのだが、飛びかかる勢いを殺せる訳もなく、その飛びついた勢いのまま、アルが生み出した壁に正面衝突した。ぎゃんっ! と言う悲鳴を上げながら。

 本来、この譜術は守りの力なのだが、モンスターは突進の勢いそのままに来た為、カウンター攻撃になって結構なダメージとなった様だ。
 何匹かが、頭からぶつかった様で、昏倒していた。

「サラ…… この中にいれば大丈夫だ。これが、この光がサラを護ってくれる。だから、ここから出るんじゃないぞ」


 まだ震えの止まらないサラだったが、アルの声を聞き少し震えが収まった様だ。でも、不安感はまだ続く。護ってくれる光は自分だけであり、アルの所にはもう無かったからだ。

「お、おにいちゃん…… は?」

 サラは、怯えながらどうするつもりかと聞いた。まだ、ゴーレム達も健在であり、俊敏な獣タイプのウルフだからこそ、あの壁と正面衝突して、倒れた。ゴーレムは動きがスローだから、ダメージにならなかった様だ。

「あいつらがいるとここから出れないだろ?」

 アルは、そう言ってモンスターの方に向いた。サラは、その仕草と言葉だけで理解した。……あのモンスターを倒す、と言っているのだと。

「だめだよっ!あ あぶないよっ おにいちゃんっ」

 サラは目に涙を溜めて、首を左右にぶんぶんと振った。危ない事をしないで欲しい。……どこにもいかないで欲しい。傍に居て欲しい。サラの中にはそれらの想いが渦巻いていた。

「大丈夫だよ。 サラのおかげで少し思い出した事があったんだ。 記憶を、ね。 ……オレの戦いの記憶を。大丈夫、ちゃんと帰ってくる。……そして、帰ろう。家に」

 アルは、サラに安心できるように、笑顔でそう言った。いつもの笑顔のままで。

 ……厳密には、記憶を取り戻したのは嘘だ。これは、この力は思い出したわけではない。これは、この力はオレのものではない(・・・・・・・・・)のだ。

 記憶を失う前、昔から使っていたのならば、少なからず身体自身が覚えていると思えるが、全くそう言う事はなく、まるで自分の力として身体に馴染む事も無い。

 そう、言わば、何か(・・)に、借りている力、と言えるだろう。

 だけど、今、サラを護れるならなんだって良い。どんな力だろうと、借り物の力だろうと……。

――……サラを守れるなら、なんだって良い。

 アルは、軽くウインクしながら、サラの方へと近づき、頭を撫でた。


「あ……っ」

 涙を流していたサラだったけれど、安心が出来た様だ。表情が変わったのがよく判る。 大好きな人に撫でられているから、安心出来たんだ。

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