プロローグ
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うっすらと目を開ける。雪が降っていた。俺は、倒れてるのか?…あれ?どうして俺、こんなところで倒れてるんだ?
俺はたしか……ああそうだ。俺は車に轢かれそうになったガキを見て、咄嗟に体が動いてそれで……代わりに轢かれたってわけか。…はは、我ながらダッセェ最後だな。
まあ、最後の最後でまともなことが出来ただけ良しとするか。思い返してみれば俺の人生、ホントにロクでもないものだったもんなぁ。暴れるだけ暴れて、たくさんの人間に迷惑かけて、たくさんの人間を傷つけて。ホントに…ロクでもねぇ。
ああ、ヤベェな。体中から力が抜けていきやがる。意識もぼうっとしてきたし、こりゃもう助からねぇかもな。つーか俺、もうすぐ死ぬかもしれねぇって時に随分落ち着いてんな。なんでだ?
「あ、あの…」
ん?
不意に呼ばれて顔を向けるとそこには、女の人と子供がいた。その子供は恐らく俺が助けたガキだろう。
「大丈夫ですか!?す、すぐに救急車を呼びますから!」
大慌てで携帯を取り出す女性に俺は首を横に振る。
「あー、いいって、いいって。どうせもう助からねぇよ」
他人事のように俺はそう告げた。これは事実だ。自分の体は自分が一番よく分かる。今から救急車を呼んでも、俺はきっと助からない。
「で、でも!」
「それより、あんたの息子は大丈夫なのか?怪我とかしてねぇか?」
俺の言葉に女性は目を見開きながら答える。
「は、はい。あなたのおかげで、傷一つなく…」
「そっか…それならいいんだ」
そう。それならいい。助けられたのなら、それでいい。
「おにいちゃん」
助けたガキの顔が俺の目に映る。目に涙を溜めていた。
「よお、坊主。どうした?」
「……ありがとう。助けてくれて……ありがとう」
――――ッ!!泣きながら俺にそうお礼を言ったガキの顔を見て、俺はどうして死ぬだろうって時にこんなに落ち着いているのか、ようやく分かった。
ああ、そうか。俺は………俺は満足してるのか。こいつを助けられて。こいつの人生を守れて。満足してるんだ。自己満足なんだろうが、それでも俺は、こいつを守れたのが嬉しいんだ。こんな下らない人間の俺が、最後に誰かを守れたのが。
ああ、ちくしょう。誰かを守れるって、こんなに嬉しいことだったのかよ。もっと早くに知っときゃよかった。そうしてたら、もしかしたら………。
あ、やべぇ。意識が遠くなってきた。こりゃいよいよヤバいな。俺は薄れていく意識の中で俺が助けたガキを呼ぶ。
「なあ、坊主」
「?…なに?おにいちゃん」
「
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