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コシ=ファン=トゥッテ
第二幕その六

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第二幕その六

「どうかここは」
「それは」
「けれど」
「言葉がどうしても出ない」
「どうしよう」
「御願いします」
 アルフォンソは二人に味方して再び困惑している姉妹に告げた。
「御赦しを」
「一言だけでも話したいのに」
「心が強張ってしまって言えない」
 二人もここぞとばかりに言う。
「困った、これは」
「どうしたものか」
「この御二人の為にも」
 アルフォンソの姉妹への言葉が続く。
「どうか御願いします」
「それでは」
 そしてここで出て来たのはデスピーナだった。一応姉妹の側にはいる。
「御二人に代わって私が返事を」
「貴女が?」
「私達の代わりに」
「そうです。それではです」
 一歩本当に前に出て言うのだった。
「済んだことは済んだこと。過去は忘れましょう」
「えっ、過去を」
「忘れよと?」
「そうです、その奴隷の印の手枷は解いて私に腕をお貸し下さい」
「えっ」
「それって」
 姉妹は今の彼の言葉に唖然とする。
「私達は別に」
「そんなことは」
「これでいいわ。二人はもう」
「そうか。では私達の仕事は終わった」
 アルフォンソの言葉は見合いの仲人そのままだった。
「ここは退散しよう」
「そうですね。それでは」
さて、どうなるかな」
 ここでは小声でデスピーナのところに来て囁いた。
「あの娘さん達がどうなっていくのか見ものだな」
「そうね。これで落ちないと悪魔より尊敬できるわ」
 二人はにやにやとしてその場を後にした。これで四人だけになった。
 四人だけになると。まずはフィオルディリージが言うのだった。
「いいお天気ですね」
 まずは天気の言葉からだった。
「今日は」
「そうですね」
 フェランドが笑顔でそれに応える。
「少し暑いですけれどそれがまた」
「木も奇麗で」
 ドラベッラは木を見て話をしていた。
「緑が豊かで」
「実もいいですが葉がまた」
 グリエルモは彼女に向いていた。
「いい感じで」
「はい、とても」
「このお花のいいこと」
 フィオルディリージはフェランドに庭の端に咲くすみれを見せていた。
「あちらにもありますよ」
「そうですね。すみれもとても多い」
「少し歩きますか?」
 フィオルディリージから勧めたのだった。
「お庭を」
「はい、それでは」
 フェランドも微笑んで彼女の言葉に応える。
「どんなことでも貴女の仰るままに」
「まあ、それ程までに」
「いよいよだね」
 フェランドはここでそっとグリエルモに囁くのだった。
「正念場だよ」
「確かに」
 グリエルモも彼の言葉に頷く。

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