第参話 《第一層ボス攻略戦》〜後編〜
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意味無いんだからな」
「それこそ解ってるさ」
にやりと笑い、シキとキリトは軽く拳をぶつけ合ってから、それぞれの標的へと向いた。
○●◎
「さぁて、いっちょ何とかしてみますか」
笑ったまま、シキはコボルドクイーンを見据え、見据え―――ー溜息を吐いた。
「どうしたの?」
「線が見えん」
その笑みは苦笑へと変わり、その青い目でチルノを捉える。
やはり、線とその途中に点在する点は見える。
だがコボルドクイーンにはそれが両方とも見えない。
厳密には見えないのではなく――。
「見辛い、か?」
見えないのではなく、コボルドクイーンの身体に走る線が極端に薄いのだった。
「……線の見えないシキって、三年間鍛錬積んでない剣道家と同じようなものじゃない……」
「例えが解りづらいっての。……まぁ、作戦会議といこうか」
遠くで斧を振るっているコボルドクイーンに視線を走らせる。
「まず……アティ」
「は、はい」
「剣が無いが、代わりはあるのか?」
アティは少し逡巡してから、「はい」と頷いた。
「そうか。ならアティとチルノは前衛で時間を稼いでくれ。俺は行動遅延食らってない奴らと周りの連中を避難させてから戻る」
「了解」
「解りました」
二つ返事で頷いてくれる二人の剣士がこの上なく頼もしく思えた。
「それじゃ、行くぞ」
コボルドクイーンは大きく沈んだ青銀色の瞳で複数の敵を認識し、顎を限界まで開き吼えた。
「グルルルオオォォ――――……」
その叫びが急に止み、何事かと訝しみ違和感の原因を探ると、
「…………!」
アティが天へと腕を上げていた。
それだけでなく、アティの全身から碧色の光が溢れだしている。
「……『このアティが盟約に基づいて呼ぶ』……」
小さく開いた口から言葉が流れ出す。
「『我、汝を求め、汝、我を欲す』」
碧色の光はより一層強さを増し、アティは叫んだ。
「来て下さい! 『碧の賢帝』!」
その叫びでアティの振り上げた手元がガラスにヒビが入ったかのようにピキピキと音を立て傷のようなものが現れた。
ヒビの入った空間はガシャァァンと甲高い音を響かせながら砕け、中から一本の淡い碧の光を放つ剣が出現した。
「……はぁぁっ!!」
アティは剣を掴むと短く叫んだ。
剣を掴んだ直後、アティを包んでいた淡い光が一層強く輝いた。
「なっ……!」
光が治まるとアティの姿は一変していた。
髪色は赤から真っ白に、瞳は青から薄い緑に。
碧色の剣をその手に携えたアティは、
「……行きます」
顔を俯かせ、シキとチルノの表情を見ずにコボルドクイーンへと走った。
「あのバカ……!」
チルノが吐き捨ててアティの後を追う。
「あ、お前ら……っ!……ああ、くそ!」
シキも思わ
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