8話 林道 五也side
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
があったのかどうかはわからないが。
「お父……さん」
それはまだ信じられないかのような囁くような呟くような、ふとすれば立ち消えてしまうかのようなか細い声だった。
だが、それでも高町父は愛しい娘の言葉を聞き逃すことはなく、長い間使われなかったせいで動きづらい喉を懸命に動かす。
「……な…のは」
酷くしゃがれた声、聞き取りやすいとは言えないかもしれない。
しかしそれは紛れもなくなのはが心から聞きたかった声であったのだろう、じわりと両目が潤むのが見えた。
これ以上は、野暮と言うものだろう。
「(行くぞ)」
「(了解ッス)」
流石に武藤も空気を読んだのかさっさと窓から外に出た、俺もそれに続いて窓から跳ぶ。
だが俺たちは忘れていた、たった今飛び出した窓は1階のものではなかったという事を………。
「ぶべっ!?」
まあ、俺は先に跳んだ武藤がクッションになったから平気だったが。
「お…おおお……おお………」
その代わり地面に埋まりながらピクピクと殺虫剤をくらったGのように痙攣する武藤がいるわけだ。
………流石に罪悪感がヤバイな。
だが、ついさっき高町父に回復魔法を使いすぎて、正直もうTPがない。
どうしたものか……。
とりあえず、せめて意識があるかどうかだけでも確認するか。
「おい、生きてるか」
「な、なんとか……」
息も絶え絶えに返事をして武藤は体を起こす。
後にはくっきりと武藤の型がとれたギャグ漫画チックな跡が残された。
もう痛みは引いたのか首を回しながらぼやき始める。
「あー、ったく、ギャグ補正がなかったら死んでたッスよ」
この世界はギャグ漫画なのか? てっきり題名からするに夢と希望(笑)の溢れる物語だと思っていたんだが、………しかし夢と希望ってこの年で言うのは辛いな、つい(笑)を付けてしまうほどに。
そういえば、いまさらだが確かに武藤の体には昨日の怪我の痕跡が一切なくなっている。
「この世界はギャグ漫画かなんかだったのか?」
「いや知らねえッス、ギャグ補正ってのは単に俺の転成特典の1つってだけッスから」
「そうか」
今思えばギャグ補正って無敵じゃないか? 関節が明後日の方向向いたり外れても少しすれば直ってたり、化学薬品(毒物)入りの料理を食べてもなんだかんだいっても結局生きてたり、大怪我しても話が1話進めば直ってたり。
俺もそれを頼んどけばよかったかもしれないな、少なくともそれさえあればこの世界が危険なものでも大丈夫そうだしな。
まあ、テイルズの術技が使えるだけでも相当なものだからいいか。
「いつまでもここにいると見つかりかねないな」
「颯爽と去ったわりにここにいるのバ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ