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コシ=ファン=トゥッテ
第二幕その四
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第二幕その四

「聞いたら駄目よ」
「けれどあの娘は悪いことじゃないって」
「人の噂になるのは悪いことよ」
「デスピーナに会いに来ているって噂でも?」
「駄目よ、それでも」 
 姉はあくまでお堅い。
「それでもね」
「わからなかったらいいお話でないの?」
 しかし妹は言うのだった。
「それで。噂になってもあの娘に会いに来たってことで」
「けれど実際に会うのは私達よ」
「変わらないわよ」
 妹の方が先に心が動いていた。
「ちょっと遊んだら今のこの塞いだ気持ちも晴れるわ」
「そうなの?」
「それに操に傷がつくわけでもないし」
「少しお話しただけならね」
「そういうこと」
 しかしここから全ては崩れていく。姉妹はこのことがわかっていなかった。
「それならいいでしょ。どうかしら」
「貴女の好きなようにすればいいわ」
 フィオルディリージは今はこう言うのに留めた。
「それでね」
「あら、姉さんは乗らないの?」
「後で大変なことになるのは嫌よ」
 こう述べて顔を顰めさせる。
「罪を犯すことは」
「気をつけていれば大変なことにもならないし罪も犯さないわ」
 やはりわかっていないドラベッラだった。
「けれど相互理解を進めるならよ」
「そうした場合には?」
「ええ。お姉様はどちらがいいの?」
 じっと姉の目を見て問う。
「あの二人のナルシスのうちどちらが」
「ちょっとわからないわ」
 フィオルディリージは首を傾げてそのうえで妹に言葉を返した。
「貴女が先に選んで」
「実はもう決まってるの」 
 ここで少し笑って述べるのだった。
「もうね」
「それで誰なの?」
「あの背が高くて茶色の髪の人よ」
「あの人なの」
「ええ、あの人」 
 こう述べるのだった。
「あの人がいいと思うのだけれど」
「じゃあ私は黒髪の人ね」
 それぞれグリエルモとフェランドを選ぶのだった。
「そうなるわね」
「甘い囁きにはふざけたお答えで」
「溜息には溜息の真似で」
 ドラベッラもフィオルディリージはそれぞれ言う。
「愛しい人、私は死ぬなんて言って」
「私の宝と言って」
「それで気晴らしをすればいいのよ」
「そういうものなのね」
「あっ、こちらでしたか」
 そしてまたここでアルフォンソが部屋の中に来た。姉妹は扉の方のチャイムには気付かなかったのだ。
「御二人共こちらにおられたんですね」
「あらっ、アルフォンソさん」
「今日はよく来られますね」
「そうです。すぐにお庭に来て下さい」
 こう告げるのである。
「喜びがそこにありますよ」
「喜びがですか」
「はい、そうです」
 肩で息をしていた。どうやら走ってきたようである。
「音楽に歌に。輝かしい光景です」
「!?何なの
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