十九話
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いままで見たこともない光景に男の子達は驚きます。
綺麗な川が流れている草原ではその緑をゆっくりと眺めました。
闇の中、光る城大きな城には感嘆の溜息を零しました。
女の子が男の子にその光景をどう思うのか聞きます。通して見るのではなく、実際にその場で、その目で見た意見も聞きたいと。
思うがままに、聞く相手が楽しめるよう、思い浮かべられるよう知恵を絞って男の子は語ります。聞く相手が笑えるようにと。
色んな場所を、色んな光景を語りながら男の子達は進んで行きました。
夜になると歩くのは御終いです。
辺り一面真っ暗なのは変わりませんが、夜は眠る時間なのです。
眠っている間に進むのはずるいと、行く先々の世界は一緒に見るのだと言われ、男の子は歩みを止めるよう言われました。
その通りだと納得し、男の子は歩くのを止めると約束しました。
けれどそれは嘘でした。
眠りきったのを確認したあと、男の子は歩き始めます。
いくら先の光景が楽しみでも、暗闇なのは変わりません。相手も大変なのです。早く出られるに越したことはありません。
自分が話さなければいいのです。いざとなれば場所の少し前で止まっていればいいのです。
目が覚めた時に少しでも進んでいるように、声の相手が少しでも早く暗闇から出られるように。
男の子は眠っているあいだも歩みを進めました。
誰にも気づかれぬよう、静かに歩みを進めていきました。
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