十九話
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が手を離し身を引く。
ついでに僕も、とサヴァリスもアイシャの手を握る。まあよろしくお願いします、と適当そうに告げる。
「あの、二人とも何のために来たんですか?」
非常に今更ながらな質問をレイフォンはぶつける。
既に最初に有った気配など消えている。最初は何か血気だったことでもありそうだったがこの様子なら特にめんどくさい事にはならなさそうだ。だからこそ今の内にと疑問をぶつける。
そう思っていると、まさしくその予想を裏付けるかのような答えがクラリーベルから返ってくる。
「いえ、今日の試合を見ていましてね。久しぶりにレイフォンの試合を見たもので少々昂ってしまいまして」
「ですので二人でこの昂ぶりをレイフォンにぶつけようという事になりました。僕としてもいなかった間に君がどの程度成長したのかも見たかったので」
二人の答えに何と言えばいいのか分からず言葉が出てこない。つまり二人は今日の試合を見て闘争欲求に火がつき、それをぶつける為に、つまり一勝負しに来たというのだ。
「ですが私は気が削がれたので止めておきます。あいにく今はそんな気分ではありません」
「僕としては別に変わってないんですがねぇ……」
そう言いながらサヴァリスは特に何もしない。一緒に来たクラリーベルの意見の変化にまあ今日は別にいいかと気まぐれに思ったのだ。別に今日でなければというものでもない。
今日この二人は話すためでもなく遊びに来たのでもなくレイフォンと戦いに来た。それを知らずの内に止めていたことにレイフォンは驚く。この二人のそれが止まる事などそうそう多くはない。大抵は昂れば衝動のままに動くのだ。それを知っているからこそ偶然だと知りつつもレイフォンは内心アイシャに感謝する。
「まあ、そういう訳なので今日はもう帰ります」
「もう帰るのー?」
クラリーベルの言葉に弟たちが声を挙げる。
彼らとしてはクラリーベルと遊びたいのだ。
「ええ、遊ぶのはまた次で。その時はトビエやビィナたちが好きなお菓子でも持ってきますね」
「本当クララ? ならさ、ならさ、次は端っこのお菓子屋で売ってる一番人気の……」
「こら、やめなさい」
弟たちを諌める。だがクラリーベルは別に良いですよと要望を聞く。
自分やリーリンならまだしも、家族でなく、その上自分と同年代の少女に頼んでいるということが彼らの兄として申し訳ない。
次は、と言ったが自分がいなかった間にどれほど仲良くなったのかレイフォンには疑問だ。
「ああ、そう言えば」
弟たちの要望を聞いたクラリーベルがアイシャに近づく。
「色々とあって大変だったと思います。大丈夫だとは思いますが何か、特にその右目など何か異常でも起きたら言って下さい。医者でも紹介しますよ」
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