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鋼殻のレギオス IFの物語
十九話
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?」

 そう聞かれ返答に困る。
 言っていいものだろうかと思い視線を向けるとアイシャは軽く頷く。良いということだろうか。
 傷を気にした様子もないし、まあ二人なら大丈夫だろうとレイフォンは思う。
 帰ってくる途中で廃都市に訪れたこと。そこにいた生き残りであること。そして引き取った事。それを簡潔に話す。

「質の低い武芸者しかいなかったのでしょう。本分を全うできない半端物ばかりだったとは嘆かわしいことです」

 聞いてすぐ、何か考えているクラリーベルの横でサヴァリスは言い放った。

「未熟者たちのせいで市民が犠牲になるとはいやはや……惨めですねぇ」
「サヴァリスさん!」
「おっと、これは失礼。彼女には何の落ち度もありませんでしたね。申し訳ない」
 
 辛辣な言葉を言うサヴァリスを咎めるがどこ吹く風だ。サヴァリスとしては思ったことを言ったまでであり、本心からの言葉であるだけタチが悪い。

「気にしてません、別に。好きに言えばいい」

 心配になってアイシャを見るが特に何も思ったことはなさそうなのでレイフォンは安心する。流石に本人を前にして今の言葉はきつい。
 そう思っているとクラリーベルが口を開く。

「……ふむふむ。なるほど、そういうことでしたか」

 納得がいきました。
 そう言い、クラリーベルはアイシャに向かい手を伸ばす。既に表情は戻り面白げな顔を浮かべている。

「クラリーベル・ロンスマイアと言います。名前を聞いてもよろしいですか?」
「アイシャ。アイシャ・ミューネス。あなたは、レイフォンの何」
「今のところは好敵手……だと思ってくれていたら嬉しいですね。まあ、宜しくお願いします」
「僕にとっては良いエモ……」
「あなたには聞いていない」

 サヴァリスの言葉を遮り二人が握手する。よろしく……、とアイシャがクラリーベルに返す。
 不意にレイフォンは冷静な自分に気づく。
 グレンダンで育った民にとって天剣とは敬意の対象であり、その相手に今の様な言葉を言うようならば周りから諌められたりすることもある。
 だが、サヴァリス相手の今は何もない。これがデルボネやティグリスだったらと軽く想像してみるが、緊張で若干背中が冷たくなった。恐らく自分は慌てていただろう。
 それなのに何故だと思い、一瞬で、ああサヴァリスだからかと結論が出る。そしてそれをレイフォンは疑問にも思わない。レイフォン自身は特に気づかないが、レイフォンの中で天剣授受者とサヴァリス本人がかなり乖離しているのだ。

「……何?」

 手を握ったまま離さず、顔を覗き込むように見ていたクラリーベルにアイシャが言う。
 近いそれにアイシャが顔の右側を手で覆う。

「ああいえ、これは申し訳ありません」
 
 クラリーベル
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