十九話
[7/24]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
どちらに向けられたものかレイフォンは一瞬間違えそうなほどだった。
一通りの事情を説明しレイフォンとアイシャは養父の元に行った。
出迎えの言葉を簡潔に述べたデルクはレイフォンの説明を黙って聞き、静かに言った。
「引き受ける分には構わん、ここはそういう場所だ。だがレイフォン、お前は数ある選択肢の中から彼女を引き取るという選択をした。その意味を忘れてはならん」
それに黙ってレイフォンは頷いた。
ヨルテムで感じた過去への思いを捨てるつもりはない。それは自分の願いでもある。
レイフォンの意思を見たデルクは口元を緩ませた。そしてアイシャへと無骨ながら優しい視線を向けた。
「今日から君はここの一員だ。“家族”として宜しく頼む」
「ありがとうございます」
「……まずはその他人行儀な喋り方を何とかせんとな」
そう言ってデルクは苦笑した。
あれから一週間。いまだ微妙に他人行儀な喋り方は治っていない。
段々と周りと馴染んでいけばその喋り方も治るかもしれない。もっとも、砕けた話し方をするアイシャの姿などレイフォンには想像できないが。
時間をかければいいのだ。それにトビエが既にアイシャに馴染んでいるのだ、時間もそうかからない可能性が高い。
それにしてもいつのまにトビエは仲良くなったのかレイフォンには不思議だ。
ちなみにレイフォンは知らないがトビエはレイフォンに弟たちの中で人一倍憧れており、レイフォンに憧憬の思いを持つアイシャとその面で意気投合。トビエは過去のことから傷の事に理解に近い思いがあった為、他の弟たちよりもアイシャの火傷を気にしなかったのでレイフォン話に花を咲かせ仲良くなったのだ。
当然ながらそんなことは梅雨とも知らないレイフォンはミルクのおかわりを申し立ててリーリンに無視された。
項垂れているとレイフォンは人の気配を感じた。
誰だろうか? そう考えた瞬間レイフォンはだらけていた体が跳ね、一瞬で体勢を整える。ほとんど条件反射に近い。
玄関が開き、声が聞こえてくる。
「こんにちわー、レイフォンいますかー?」
「お邪魔しますよ。そう言えばここから入るの久しぶりですね」
聞こえてくる二人の、というか二人目の声に体が止まる。
今すぐ窓から飛び出ようか? そう考えてしまうがもう遅いだろう。変に逃げれば無理にでも追ってきて周りに迷惑がかかりかねない。そう思いレイフォンは大人しく待つことにする。
何故だか気配が殺気立っているというか、自己主張が強い気がするが少なくとも孤児院の中なら大人しいはずだ。それと、二人目の人はいつも普通に入ってきて欲しい。
……ついでに、いつの間に彼は此処に来るようになっていたのだろうかとレイフォンに戦慄が走った。
数秒し、件の二人の姿が視界
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ