十九話
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かで話しかけづらく感じちゃうのかもね」
「そう、なのかな」
出稼ぎではほとんど歳上に囲まれて過ごしていたのでレイフォンにはその感覚がよくわからないが否定はできない。
子供というのは異物に敏感だ。大人と違い取り繕うということも出来ない。
ほとんどの子供たちは院に連れて来られた時点で歳上がいたが、それも同じ孤児でありいわば先輩のようなものだ。かつて同じような経験をしたものとして年上の方から近寄ってきてくれるという面があったことは否めない。自分とて今は院を出たルシャ等に面倒を見てもらった記憶がある。
だが、アイシャはその点が違う。それに雰囲気も静かなもので、他の子供たちに積極的に絡んでいったり、逆に子供たちが絡んでいったりしやすいとは余り思えない。話してみれば違うのだが、そもそも話してみなければそんな事は分からない。
それに、とリーリンが続ける。
「トビエたちは大丈夫だけれど、下の子は目の傷が……」
その言葉にレイフォンは無言で同意する。
未だアイシャの右目周辺の部分には傷跡が残っている。
単純な切り傷だけならばそうでもないが火傷の痕は酷く、変色し固まった皮膚は右の瞳を閉ざし、真っ向から見据えるのには堪える。
戦場で様々な死傷者を見てきたレイフォンならばそこまででもないが、そういった経験のない一般人の、それも小さな子供にとっては恐怖の対象にもなるのだろう。アイシャ自身分かっているのか前髪を垂らして右目の部分を隠すようにしているが完璧ではない。
弟たちの中には痣や切り傷などの怪我を持って来た者もいたが次第に打ち解け合っていった。だからこそ慣れて欲しいと思う反面、無理なのではと考えてしまう所もある。どちらにせよ、まだ時間が短い。
「後で傷跡を治さないかもう一度聞いてみるよ。それにまだ来てそんな経ってないし、一緒にいれば話せるようになってくると思う」
「……アイシャさんはちゃんと話してくれるし遠ざかろうとするわけじゃないから、傷に慣れれば早いかもしれないわね。皆だって、最初は馴染むまで時間がかかったものね」
まだ一週間くらいだものね。私も最初は色々と驚いたわ。
そう続けたリーリンにレイフォンはその時のことを思い出す。
あれはおおよそ一週間前だ。
いつ帰るか正確な時間など伝えられない以上、向こうからしたら突然帰ってきたようなものだっただろう。
前もって手紙を送ったとしてもどっちが先につくのか分からない。それでも帰ってきた自分に孤児院の皆は驚きと喜びで沸き、続いて入ってきたアイシャに時間が止まった。
驚いていたリーリンはジト目に、弟たちは興味津々に、ロミナは親指を立てた。
「……どちら様?」
リーリンの第一声は一緒にいた少女に向けてのもののはずだが、
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