十九話
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たのがお兄さんなんかじゃなくてレイフォンだったらよかったな。あんな人じゃなくてレイフォン凄く強い。カッコいいしさ」
「そうだろー!」
やや楽しそうなアイシャの言葉に賛同の声が元気に上がる。
トビエだ。
事情を知らないトビエは半お通夜状態な事など気にせず元気にアイシャに話しかける。
レイフォンに憧れているトビエはレイフォンが強い、というところに反応したのだろう。得意げな顔で言う。
「レイフォン兄すげー強くてかっこいいんだぜ。それ以上にヘタレだけどな! アイねえもそう思うよな?」
「カッコいいね。でもヘタレ、なのか?」
「ヘタレだって! だってアイねえとリーリン姉の事とか気づいてないんだぜ! それにあとでバレるって知ってるのにいつも俺たちに言いくるめられてお菓子作ってくれるし。押しにも弱いんだ。な、お前らもそう思うよな?」
聞かれたアンリとラニエッタが答えづらそうな顔をする。
そもそもまだアイシャが来てから日が浅く、この二人はアイシャとそこまで気軽に話せる様にはなっていないのだ。
「レイフォン兄さん、いい人だよ」
「僕もレイ兄かっこいいと思う……」
「でもヘタレだよな?」
「……お菓子美味しいよね」
「……うん」
二人は目をそらす。嘘をつけない良い子達なのだ。リーリンまでこっちから目をそらしている。
それを見てレイフォンは悲しい気持ちになった。
「ヘタレ、には思えないけど。今日カッコよかったよ」
「それはまだレイフォン兄の事知らないからだって。それより何かして遊ぼうぜー」
「……いいよ」
少し考えた後アイシャは頷き本を閉じる。
「よっしゃ。じゃ、二人も行こう。リーリン姉は負けずに頑張れよー!」
「トビエ、何変なこと言って……!」
焦ったようなリーリンの言葉を無視しアンリとラニエッタも連れトビエは奥の部屋に行った。
ヘタレヘタレと言われ、レイフォンはそんなにかなと思うが多分事実なのだろう。だが、少なくともこの一年半で押しには強くなったはずだと思う。だてに(物理的にも)押しに押してくる金髪の少女とか、屁理屈を捏ねまくる人と一緒にいたわけではないのだ。
そんな事を思いながらミルクを飲み干し、もう一つ、違うことを思う。
「やっぱり、話しづらいのかな」
アイシャへの弟たちの態度を思い返して言う。現在の院で最年長であるレイフォンとリーリンを除けば真っ向から気兼ねなく話しているのはトビエくらいなものだ。他の弟たちはどこかまだ尻込みしているような所がある気がする。
リーリンもそれについて思うことがあるのか小さく頷く。
「年下ならまだしも、年上だからね。相手の仕方が違うんじゃないの? 話してみると思ったより話しやすいし良い子だけど、雰囲気的に静
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