十九話
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をした後負けるだろう。哀れなことだ」
「いきなり出てきてワケの分からない予言ですか? 生憎占いを頼んだ覚えはない」
レイフォンは辛辣に言う。
男は一枚の紙を懐から出しレイフォンに向け飛ばす。風に乗ったようにまっすぐにレイフォンの足元にそれが運ばれてくる。
どうやら写真のようだ。拾ったそれを見てレイフォンは眉を顰めた。
「これは……そういうことですか」
写真に写っているのは仮面で顔を隠した少年、レイフォンの姿だ。闇試合の物だろう。それも今日では無い。端に写った相手を見るに何ヶ月か前の物。
すぐさま手が錬金鋼に伸びかけるがそれを男の声が遮る。
「今おれを降せば写真はばらまかれる。ついでにこれも見せてやる」
そう言ってもう一枚レイフォンの元に写真が運ばれる。写っているのは先ほどと同じ自分の姿。だが、一つ違う。小さいのだ。恐らくこれは自分が出稼ぎに出る前の物だろう。
今更ながらに思い出す。目の前の男はいくつかの大会で見た。確か名前はガハルドといったか。
「バラされたくなければ自分がどうするか分かるな?」
「……」
明日の試合、レイフォンとガハルドは決勝でぶつかる。そして戦いの末、自分はガハルドに下される。そう演じろというのだ。平たく言えば天剣を譲れ、と。
どうすればいい。その言葉がレイフォンの頭の中を巡る。
バラされるわけにはいかない。孤児院の皆は勿論だが、そうされれば金を稼ぐ機会が減る。闇試合の男性は言った。「邪魔になれば速攻切る」と。ならば自分がいられる理由すら危なくなる。出来るだけ離れないと決めたのに家族と離れるかもしれない。
ここで倒すことは出来る。だがそうすればばらされるという。何らかの手を講じてきたのだろう。昔の写真も使い脅す相手だ、念が入っているだろう。
ばらされない為にはここで話を受けるしかない。だが、天剣になる機会を失うわけにもいかない。
家族を守れるのだ。そう保証すると言われたのだ。
???この男はそれを奪うというのか。
そして不意に、一つの考えがレイフォンの脳裏に過る。同時に、かつて言われた一つの言葉も。
だから、
「分かりました。明日、僕の剣は不調になると思います」
レイフォンは承諾した。クソ下らない予言師気取りの男の言葉に頷く。
承諾の言葉を聞き、ガハルドは口元を歪ませる。
「賢い判断だ」
「凄い予言ですね、占い師にでも転職したらどうですか?」
「これはこれは……だが、こちらよりも自分の身の振り方を考えたほうが賢明じゃないかね」
そう言ってガハルドは小さく嗤う。
「では明日、試合の場にて会おう」
そう言いガハルドは歩を進める。
レイフォンの横を通る際ガハルドが言う。
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