十九話
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だが、これだけあればレイフォンを呼ぶのは十分だ。レイフォンが帰ってきてから数ヶ月。十分すぎるだけの時間が経った。もういいだろう。
色々と問題はあるが、まあ無視すればいい。流石にまた直ぐに出稼ぎ、という事にはならないだろうが遅くするのもアレだ。
「とりあえず、あの子に伝言頼もっと」
そう呟き、アルシェイラは再び映像の方に視線を戻す。そこではどうしてだか知らないがレイフォンとクラルーベルが抜き打ちをする様な格好で向かい合っており、一瞬で距離が縮む。
クラリーベルが抜こうとした瞬間、半身になっていたレイフォンの左手が全く別の動きをする様に一直線に突き出される。その左手には鉄鞭がある。抜き打ちと見せかけてのフェイントだったのだ。凄まじい勢いで突き出された鉄鞭を受け、隙を突かれたクラリーベルの体が真後ろに吹き飛ばされた。その間にレイフォンは逃げ出す。もう、これは追いつけないだろう。
「大変ねー。……そういえばもう一人気にしなきゃいけない子がいたわね」
脳裏に浮かぶのは一人の少女。目に傷のある彼女の事を思い出す。
クラリーベル経由で聞いた話だがどうしたものか。息のかかった病院で色々と調べた後傷を治す手術をしたとか。調べた結果は聞いたが、正直乗り気になれない。色々あったらしいがぶっちゃけ興味がない。ましてや一般人だ。
「レイフォンで埋まるしどうでもいいわね。そもそもそこまで興味ないし。いーらない」
それにきっと、あれはどこか心がオカシイ。そんなものに関わるのはめんどくさい。
人ごとのように呟きながらアルシェイラは目を閉じた。ただ、一度くらい興味本位で見に行こうとは思う。
大会を開くには書類仕事などが必要だが、今は目先の眠気だ。
起きたら本気出す。そう思いながらアルシェイラの意識は微睡んでいった。
「四週間後、ですか?」
「はい」
クラリーベルの返答を受けながらレイフォンはどうしたものかと渡された紙に視線を移す。
前に見たことがある内容の文面、天剣授受者を決める大会への参加の用紙だ。
正直な話そこまで乗り気になれない。だからと言って参加を拒否する理由もない。困ったものだ。
「レイフォン兄ちゃん天剣になるのー?」
「今度こそレイフォン兄さんなら成れるよ。出てみようよ」
「レイフォン兄出ようぜ!」
と思っていたら外堀がほぼ埋まりかけていた。
見ればクラリーベルは暗い笑いを浮かべている。完全に狙ってやられたようだ。
悩むレイフォンの背中をクラリーベルが押す。
「天剣になれば給付金も増えます。天剣を輩出した武門になれば入門者も増えるでしょうしある程度の保護も受けられるようになります。孤児院という事を踏まえ、多少なら多く出して
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