十九話
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そんな言葉で片付けるものではない。一歩間違えなくても普通に死んでいる。
そんなレイフォンにサヴァリスは満面の笑みを返す。
「いや、実に良かったですよ今のは。殺意が載っていましたしいつもアレくらいで来て欲しいですね。もう少しギアを上げても良さそうです」
「いえ、流石にそれは……」
「それに疾風迅雷の型も久しぶりに打てました。汚染獣相手だと打ち切る前に大抵相手が死にますし、老性体だと動きが早くて有効範囲外に行かれる可能性がありますからね。門下生相手では手加減しても殺してしまうかもしれません」
「僕にもそれぐらい手加減して欲しいです」
「そうですよサヴァリス様!」
お預けをくらっていたクラリーベルが文句を言う。
「私がいることも考えてください。最初の一撃は私も巻き込んでいたじゃないです!」
「クラリーベル様ならアレくらい大丈夫だと思っていましたので。これは申し訳ない」
「二人は楽しそうにしている間、横で見ているだけの私のことも考えてください!!」
(僕は楽しくなんかないんだけど……)
そう思うが、意味のないことなのだろうきっと。
そんな事よりも、と思う。一旦戦闘が止まり、二人は言い争っている。絶好の機会だ。
元々今日は動いた後なのだ。いつもより疲れていた……というほどではないが何回も戦う気になれないのは確かだ。
だから……
「いつもあなたは……って、レイフォン!?」
レイフォンは全力で逃げ出した。
「おー、やってるやってる」
映し出された映像を見ながらアルシェイラは呟いた。
逃げ出したレイフォンは追ってくる二人に武器を持ち替えたようだ。剣ではなく弓だ。距離がある故、その間を詰められないようにする為の遠距離武器。だが、本領を発揮できないそれがどれだけ通用するか。
そんなことを思いながらアルシェイラは映像から目を離し一枚の紙を見る。そこに書かれた数字と結果に目を通し、んっ、と伸びをする。
ここは彼女お気に入りの庭園で今はチェアに腰掛けた状態だ。伸びに合わせ、ギシッ、と小さく揺れる。
「そろそろ時期かな。十分なだけの結果は出たし」
彼女が手にしている紙に書かれているのはレイフォンの公式試合や大会での成績だ。軒並み優勝と書かれ、一番下に今日の日付と共に同じ結果が記されている。
今日は公式試合がありそこでもレイフォンは優勝した。サヴァリスとクラリーベルがレイフォンを襲ったのもなんてことはない、その試合を観戦して体が滾っただけだ。
まあ、そんな事はどうでもいい。問題はこの結果だ。これなら、もう条件は十分だろう。
「天剣、決めちゃいますか。大会開かないとねー」
天剣授受者を決める大会。一定以上の戦績を収めなければ参加資格が無いもの
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