十九話
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そう告げられたアイシャは何かに気づいたように目をパチパチさせる。
「どうしたの?」
「んー……」
不思議そうにしていたアイシャは軽く目に触れ、言った。
「治ってる」
「え?」
「痺れがなくなったかな。楽になった気がする。膨らみが、小さくなったみたい」
どうやら本当に治ったらしい。
不思議そうにしているアイシャがリーリンを見る。
「撫でてくれたから? リーリン、ありがとう」
「それは違うと思うけど……」
流石にその程度で治ったら世話はない。単純に時間で引いたのだろう。
だがわざわざ否定するのもアレだ。感謝されて悪い気もしない。治ったのならそれでいいのだろう。
そう思い、台の上のミルクを渡す。
「はい、どうぞ。砂糖は入れる?」
「ありがとう」
アイシャが受け取る。
まだ器も熱くこわごわと持ち、息をかけて冷ましている。
「ねえ、やっぱり病院で治さない? またあっても大変だと思うし、女の子なんだから顔は大事にしたほうが良いわよ」
「傷あると迷惑? お金かかると思うけど」
「……どの位かかるか分からないけど取り敢えず聞いてみない? クラリーベルが紹介してくれるって。今日アイシャさんともあった子よ。レイフォンだって気にしてる。後、別に迷惑じゃないわ」
アイシャは一口ミルクを飲み砂糖に手を伸ばす。
蓋に手をかけながらリーリンの目を見返して口を開く。
「分かった。今度行ってみる」
「そう、良かったわ」
嘘を言うような人物ではないからこれで行くだろう。一緒に過ごしてみてわかったことだが自分のことに無頓着なところがアイシャにはある。きっと何も言われなければ行かなかったはずだ。言ってみて良かったと思う。もしかしたらレイフォンの名前を出したからもしれないが行ってくれるのならどっちでもいい。
消しきることはしなくても傷が小さくなるだけで子供たちからの印象は変わるはずだ。そうすれば馴染むのも早くなる。
「これからも仲良くしてねアイシャさん」
そして自分も仲良くなりたいと思う。
言われたアイシャは唐突な言葉に少し首をひねったが直ぐに答えを返す。
「よろしく、リーリン」
好きになれそうだと、そうリーリンは思った。
「……砂糖、そんなに入れて大丈夫? 寝る前だから気をつけたほうが……」
「私、太りづらいから平気なんだ。細いからもっと、肉付いたほうが良いって言われた」
「……ああ、そう」
リーリンは一瞬前の気持ちをかなぐり捨てそうになった。
頭上から迫る殺気に隣の屋根に飛ぶ。
避けた地面が爆ぜるのを横目に見つつその場に剄を放つ。
???外
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