十九話
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らしいが、その人が、つまり“上”の階位に人がいる間は少なくとも大丈夫だとか。
まあ、そんなことはどうでもいい。そう思い剣を構える。
さあ?????
『???試合開始!!』
???お金を稼ごうか。
今だ日が落ちず空が明るい昼過ぎ。レイフォンは自宅である孤児院の中でテーブルに突っ伏していた。
冷たい表面が頬にあたり気持ちいい。このまま力を抜いてのんびりとしていたい。
「久しぶりだったけど問題なかったなぁ」
「見ない間に弱くなってないか心配だったけど、大丈夫だったわね」
突っ伏したままのレイフォンにリーリンが温めたミルクを渡す。
ありがとー、と間延びした声を返すレイフォンにどことなく呆れた表情だが、しょうがないとリーリンは小さく笑った。
そんなリーリンの視線を受けながら、レイフォンは砂糖入りのそれをちびちびと飲んでいく。ロクに疲れてはいないが、動いた後なので糖分補給は一応大切なのだ。
グレンダンでは他都市から比べれば比較的頻繁に大会や試合が行われる。
その成績によっては汚染獣戦に出ることを許されたり、より上位の大会に出ることを許可されたりもする。ある種都市内での自分の実力の位置を図る目安にもなるものだ。今日レイフォンはそれに出、今は終わって帰ってきたところだ。
それに、というかレイフォンとしたはこちらの方が大事なのだが、大会に出て優勝すれば賞金も貰える。
また出稼ぎの為レイフォンはここ一年半ほどの間の公式での戦績がゼロだ。
試合や大会が多く、汚染獣の襲来も多いグレンダンにおいて一年半近く戦績がゼロ、というのは珍しい。道場や弟子を持っているわけでもなく命令で遠出があったわけでもなく、ましてや天剣でもない只の一般武芸者であるレイフォンは個人としての戦績がある種白紙に近くなっていた事でもある。
流石に汚染獣戦参加が拒否されるとまではいかないが、数年前に出たような天剣授受者を決めるような大会に出るには再び数をこなして結果を出すしかない状態だ。
そんな状況のレイフォンにとって、今日の試合は出稼ぎから帰ってきて一回目の試合。その為多少の緊張が(リーリンには)あったが、特に何も問題はなくレイフォンは優勝して帰ってきた。
そうして今、レイフォンは全力でだらけながら砂糖入りミルクを飲んでいる。
ぐでっと伸びたままレイフォンは辺りを見る。
弟たちは思い思いに動いていて子供特有の賑やかさを感じさせる。
慌ただしいようでゆっくりとした空間。レイフォンが試合、ないしは戦闘を終え何でもないような時間が流れるのは昔からのことで、こういった時間に身を浸すと、ああ、帰ってきたんだなと実感が湧いてくる。
その中で、前と違った存在が視界に入る。
「………」
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