十九話
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「久しぶりだな坊主。結局戻ってきちまったのか」
「おじさんまだいたんですね。お久しぶりです」
物を受け取りながら久しぶりにあった見覚えのある男性に返事を返す。
あれから一年と数ヶ月経っているというのにまたあの時と同じように会えたことに驚く。
だが、思い返せば始めたばかりの時からいた様な気もする。ならば、前に出て行ったときの時点で既に一年以上はいたのだ。それから考えればおかしい話でもない。不思議に感じるのは、自分が長い間離れていたからだろうかとレイフォンは思った。
「随分ご挨拶だな。これでもあの時よりかは昇進して上の立場になったぜ」
「おめでとうございます。もっと上に行けるといいですね」
一年半ぶりほどの場だ。聞こえてくる騒音にも近い声に懐かしさを感じる。
表情が抜けていくのを理解しながら、感じる懐かしさで不敵に笑った男性に祝いの言葉をレイフォンは笑顔で言う。
だがそれを受け、男性は口を歪ませ奇怪な物を見るような視線をレイフォンに向ける。
「坊主……お前変わったな。こんな糞みたいな場所での昇級を褒め奨励する奴じゃなかった気がしたが」
「そうですか?」
「ああ。前ならそうだな……何言えばいいかわからない曖昧な顔で「……ええと、おめでとうございます」って言うか、無表情で「良かったですね」って言うような感じだ」
自分では変わったかなど分からないがそうなのだろうか?
そう思いながらレイフォンは渡された物を顔に付ける。視界自体は変わらないのに、これを付けると不思議と世界が狭く感じてしまうのは何故なのだろう。身と心の重力が軽く、重りがつけられたような不思議な感じになるのが奇妙だ。
そんなレイフォンに、男は頭を掻きながら自嘲気味に小さく笑った。
「わざわざ理由が気になるほど親しい仲でもねぇな。……しっかり稼がせてくれればそれで十分だ」
その言葉を背に受けレイフォンは進んでいく。
その先には頑丈に作られたステージと武器を構えた大人が一人。
罵声に似た歓声の届く中、レイフォンは剣を復元。自分と同じく仮面をつけた相手に相対する。
レイフォンの登場を告げる声が響き渡る。
『約一年半ぶりの復帰! 今まで何処に行っていた??ッ!! 未だ十代前半、元チャンプの少年登場だ!!! ???姿を見せぬ間に何があった? 強さは健在か? さあ、その力を見せてくれ!!!』
やたらと強調するマイクの声に苦笑する。
男性が言っていたが、印象づけて自分を売りたいのだろう。一年半前は用済みでも、時間が経って自分の価値が出てきたらしい。
強すぎた性でかつてはリストラされたが、それも大丈夫だと言われた。何でも、いなくなっていた間に新しくチャンピオンの位置についた人がいるらしい。手脚甲を使う流派の人
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