第29話 紳士と侍
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王グリーン・ハンス・ワイアットと言うものだよろしくな。」
獰猛な笑みを浮かべた。少なくとも佐々木には、そう見えた。
「こ、国王陛下であられるのですか?わ、私は佐々木武雄と言います。」
佐々木は年甲斐もなく、みっともなく動揺した。
「あぁ、国王を“この国”でやらせてもらっている。」
ワイアットはこの国を強調しながら言った。
佐々木は、動揺から軽い混乱状態に陥っていた。
くそ、国王だと…しかもだ、何時でもお前ぐらいは潰せると言っている。佐々木はワイアットに発言した。
「陛下、私ごときに何のご用が…」
ワイアットは、
「二人とも下がりなさい。」
と言って二人を下がらせた。ジャンヌはやや抵抗した(ワイアットの身が危ないと言う建前で)結局は、コルベールとともに部屋を出た。
「これは、秘密なのだかね我が国は貴殿の祖国と国交をそれも同盟を結びたいと考えている。」
ワイアットの目は真剣そのものだ。
佐々木は、
「何の」事と言いかけた所でワイアットが、「ここまで来て腹さぐりですか?お互い本音を言いましょう。」と言った。
佐々木は、押し込まれ「はい。」と言ってしまった。
ワイアットとしては、彼が東方の国出身でも日本の出身でもどちらでも良かった。ただ彼が持つこれまでに見た製紙技術や、茶生産技術などが欲しかったのだ。仮に、あの神社の様なものの中に報告のものが無くとも良かったのだ。同盟を出すことで相手を更に、動揺させて相手を自らのペースに乗せる為だった。
しかし、ここで意外な展開が待っていた。
「わかりました。この世界には、私しか日本人は居ませんならば、私が最高責任者になるということ…技術提供を行う変わりに新技術の開発費と鉄鋼等の資源をライセンス料等に頂きたい。」
佐々木は、腹を決めてワイアットに言いはなった。
「分かった、その条件でここに羊皮紙がある。これに、条約文と契約書を書こうか。」
ワイアットは、冷静に答えたがそれは、表面上での話で内心は何と!こんなことが落ち着け紳士は常に冷静にと考えるくらいに動揺していた。
そんな、ワイアットと佐々木は文書をまとめてここに、トリステインと日本は、国交を持ったのだった。
ワイアット達は帰りに神社の中にあった、零戦を貸し出してもらった。佐々木本人は解析や技術支援などのために、トリスタニア近くの山間にあるコルベール研究所に勤務して貰うことに決定した。
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