第八十五話 【Fate編】
[17/19]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
種だ。
そのエルフの男性に何かをお願いしたのか、お願いされたのか。いや、何かを作ってもらうようにお願いしたようだった。子供はそれからしばらくそのエルフの男性の家へと通う事になる。
それから二年。ようやくその何かが作り上げられた。
それは見た目は変わらない金と銀の二つの宝石。しかし、それが突如として武器へと変わった。形的には斧だろうか。
それを少年は本当に嬉しそうに受け取ったのが印象的だった。
しかし、不幸は直ぐそこまで迫っていた。
突如トロールが彼の住む街を襲ったのだ。
彼は大きなトロール相手に訓練した魔術で攻撃し、何とか一体を倒しえた。しかし、ショックが大きかったのか吐露に苦しんでいたが…
その襲撃で彼は両親を失ったらしい。それでも彼は毅然と彼らの死を受け入れていた。
彼が立ち直れたのは同じく両親を失った女の子を引き取ったからだろう。引き取れるだけの財産があったこ事も彼の幸運な所だ。
エルフの男性に付き合わされるいろいろな惨事も彼に落ち込む暇を与えなかった。
変身薬を誤って飲んでしまった時には本当に焦ったようだった。
グリフォンや光り輝く銀色のドラゴンへと変身する彼は本当に慌てていて少し面白い。
時が過ぎ、青年になった彼は何かを焦っていた。
何か途轍もない漠然とした不安だけがわたしにも伝わってくる。
彼は行く予定の無かった学院へと入学し、何かを監視している。監視しているのは強い力を持っていると言う魔術師とそれとは正反対に無能と言われている少女だ。
その二人の接触を彼は心の底から憂慮していた。
そして、わたしには分からないが、彼にとって都合の悪い事が度重なって起こったのだろう。何度が彼が介入し、裏から何かをしていた。しかし、彼が何かをしようが、事態は彼が考える中でも悪い方へと流れていく。
戦争が起こったのだ。
いや、戦争が起こるのはその彼も分かっていた。
しかし、その勝敗が彼の思惑とは正反対だっただけ。
戦争に負け、貴族だった彼はその地位を奪われる。
しかし、別段彼にとって貴族の地位などどうでも良かったのだ。次男であり、嫡男で無かった彼は彼の領民を心配する権利すらない。嫡男である彼の兄は優秀で、良い領主になるだろうと思っていたからだ。自分は家を出て、城勤めの騎士か、それこそ農園でも運営するかと思っていたのだから。
その思惑も戦争に負けたことで無くなってしまったが、だからと言って彼には国を取り戻すと言う気は無いらしい。
その世界は支配階級である貴族と、支配される側である平民の力の差が明らかな世界だった。
魔術が容認され、その魔術が使えるのは貴族だけ。つまり、平民が束になった所で貴族には叶わない。
そんな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ