第八十五話 【Fate編】
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」
「あら、そっちもきちんと楽しんでいるわ。城までのエスコートはお願いね、チャンピオン」
「仰せのとおりに。お嬢様」
夜の空を悠然と飛行してアインツベルンの森へと移動する。
森に入ると高度を落として着陸の態勢へと移行した。
「チャンピオン?」
その行動をイリヤはいぶかしむ。そのまま城まで飛んでいけば良いじゃないと言いたげだった。
が、しかし俺はそこで再び体を変化させる。
龍鱗に覆われた体躯は産毛が覆い、そのコウモリのような羽には羽根に変わる。顔はトカゲのようなものからその鋭さは変わらないが、嘴のようなものに変わり、前足は鳥類、後ろ足は獅子のそれに変わった。
ざざーっと木の葉を上を滑りながら地面に着地し、そのまま前へと蹴りだす。
「今度はグリフォンねっ!」
当然魔術師の常識外の事であろうが、イリヤはすでにそう言うものと順応したようだ。
イリヤを背に乗せて森の中を疾駆する。
「はやい、はやいっ!」
視線が低く、流れる木々が速く感じられ、実際は空を飛んでいた時よりもスピードは落ちているのだが、その体感速度は倍以上だ。
森を駆け抜け中世の城を思わせる石造りの建物が見えてくる。
「とうちゃーくっ!」
「チャンピオン交通ご利用ありがとうございます。目的地に到着いたしました。足元にお気をつけてお降りください。本日はご利用まことにありがとうございました」
「あははっ。うん、またお願いね、チャンピオン」
身をかがめ伏せのポーズでイリヤを降ろすと人間の姿へと戻る。
「さ、入ろう。リズとセラが待っている」
「うんっ!」
イリヤの手を引いて格調の高いアインツベルンの居城へと歩を進めた。
◇
夢を見ている。
なぜこれが夢かと分かるかといえば、それが余りにもわたしの育った環境と違いすぎるからだ。
わたしが知っているのはあの雪に閉じ込められた城の中だけ。
だからこれは夢だ。
その夢では一人の子供が木の棒を持ち一生懸命何かに励んでいた。
手に持った棒をおとぎ話の魔法使いの杖のように振るうとバチバチと雷のような物が出てくるのだからやはりそれは杖なのだろう。
子供は何が楽しいのか、一日中魔術を使いへとへとになるまで練習していた。
しかし、その子供は納得がいくものではないのか何かを探しているようだ。
そして見つけたのは金と銀の宝石が二つ。
それを本当に嬉しそうに手に取ったその子供はさらに魔術の練習へと傾向していく。
彼は、まだ自分の目標とそぐわないのか、その二つの宝石を持って初老の男性を訪ねていった。
エルフ…
それは幻想種の中でも有名な亜人。もちろん現代には存在しているはずの無い人
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