第八十五話 【Fate編】
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油断すれば負けるだろうよ」
「そう?」
全てに納得した訳では無いだろうが、一応は納得したのかイリヤはそれ以上の追及は無かった。
「さて、今日はもう城に帰ろう。一戦やって俺達も消耗しているし、ね」
「しょうがないわね。あ、でもリズとセラを今から呼ばないとだから一時間以上掛かるわ」
郊外にあるアインツベルンの森の奥にある屋敷がこの聖杯戦争における俺達の滞在先になる。
「何、聖杯からのバックアップもある。今ならば空を飛ぶ位どうって事は無いだろうよ」
「え?チャンピオンって飛べるの?」
「もちろん。…これくらい空も曇っていれば人の目に付く事もあるまい。…ソル」
俺はイリヤを抱えるように抱き上げるとソルに命じて飛行魔法を展開する。
『フライヤーフィン』
「わっわわっ!?」
だんだんとその視界がパノラマに広がり、眼下に冬木の街のネオンサインがただの光点になるほどまで上昇する。
「すごいっ!チャンピオンはすごいね。空まで飛べちゃうんだ」
「まあね、空を自在に翔けるのだけは色々な事が出来るようになった今でも一番好きかな」
空を舞い、自在に飛び回る。その快感は飛んだことの無い奴には分からない爽快さと優越感を感じさせる。
人類が如何に空に憧れようと、この今の世界の科学では世紀を幾つか過ぎなければ叶わない事も、その身一つでおこなえる。
風を切る感覚、流れを見切りそれに巧く乗れた時などは本当に楽しい。
とは言え、俺に抱っこされている状況ではイリヤも不満だろう。
俺はイリヤお背に回しておぶり、しっかりと首に抱きつかせる。
「うん?どうしたの、チャンピオン」
「いや、夜だしもう郊外だ。この辺りは林道で車も余り通らなそうだから大丈夫かなと思って」
「何が?」
「しっかり掴まってて」
そう言うと俺は体にぐっと力を入れるとその体を変化させた。
首は伸び背中からはコウモリを思わせる羽が生え、その手は鍵爪へと変化する。
「え、ええ!?ちゃ…チャンピオン!?」
俺の背中で余りの事に驚愕しているであろうイリヤの声が聞こえる。
「…ドラゴン」
囁くイリヤが言ったように俺の体は銀色のドラゴンへと変わっている。
「最強の幻想種…」
「うん?」
「ドラゴンは幻想種の中で最強だって言ったの。何処の国でも現代では知らぬものなど居ない神代の獣…その知名度はピカイチよ。その補正はきちんと有るはずだわ」
「そう言えば、身が軽いような気がするね」
「今の状態だと全てのパラメーターが1ランク上昇しているわ。…すごい、本当にチャンピオンてすごいね!」
「喜んでもらえて何よりだが、喜んで欲しかったのは空の旅なんだけどね
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