第八十九話
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ありがとうございましたわ」
袁紹はそう言って俺に頭を下げた。……おいおい、かなり怖いんだけど……明日は雨、いや雪かもしれんな。
「頭を上げろよ袁紹。お前が頭なんか下げたら驚くぞ」
「……そうですわね。でも、私は貴方に助けてもらったのですから頭を下げるのは当然ですわ」
「そ、そうか……」
凄く調子狂うなマジで。袁紹に何があったんだ?
「私、今まであのような場面で助けてもらったのは猪々子さんと斗詩さんくらいで男の人は初めてでしたの」
袁紹はそう言って俺に近寄る……ん?
「袁紹……お前酔ってるな?」
袁紹から酒の匂いがしていた。恐らく此処に来る前に酒でも飲んだのだろう。
「酒に酔わないと此処まで来れませんわ。私、あんな華麗に助けて頂いたのは初めてですわ」
……普通に助けたはずなんだが、袁紹の眼は何かおかしいな。
「それは違うぞ袁紹」
「袁紹とは呼ばないで下さいませ。麗羽で宜しいですわ」
そう言って俺に寄り掛かる袁紹……もとい麗羽である。
「と、兎に角落ち着け麗羽。ほら水でも飲んで冷静に……」
「えぇいままよですわッ!!」
「んむッ!?」
麗羽がキスをしてきた。勢いあまってカチンと歯と歯がぶつかったが麗羽はそれを気にせず自分の舌と俺の舌を絡み合わせてきた。
……もうこうなると腹括るしかないよな。俺も麗羽の舌に絡み合わせるが不意に麗羽が止まってキスを止めた。
「ん?」
よく見れば顔は徐々に真っ青になってきた。それに口が膨らんできたが……まさかッ!!
「麗羽ッ!! 桶は此処だッ!!」
俺は直ぐに麗羽に木の桶を差し出す。麗羽はそれを見て安心したのか、膨らんでいた口は大雨で防波堤が耐えきれなかったように決壊した。
まぁ戻したのである。下品に言えばゲロ吐いた。
てか麗羽、飲み過ぎだ。
「ほら大丈夫か?」
俺は麗羽の背中を撫でつつ聞くと麗羽はゆっくりと頷いた。そして置いてあった手拭いで汚れていた口の周りを拭いてやる。
「全部出したか?」
「(コクコク)」
頷いているから全部出したのだろう。
「水を持ってきてやるからな」
俺は井戸がある場所まで行って水を持ってくる。水を差し出された麗羽は水を飲み干した。
「……申し訳ありませんわ」
「気にするな麗羽」
申し訳なさそうにする麗羽に俺は頭を撫でてやる。麗羽も恥ずかしそうではあったが嬉しそうであり俺に身体を寄せ付ける。
そして数分、撫でていると麗羽が寝息が聞こえてきた。恐らくは酒のせいだろう。
「全く……」
俺は溜め息を吐いて麗羽を備えてあった寝台に寝かす。
「そういや片
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