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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第二十幕 「サムライガールの心の内は?」
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たこと・・・つまりISの発表と『白騎士事件』の所為で、家庭は滅茶苦茶になった。
尊敬していた姉の突然の失踪。それを境に箒の世界は変わってしまった。
家には連日マスコミだの研究機関の人だの政治家だのが詰め寄り、知りもしないISの事をしつこく聞きまわった。すぐに政府の手配したボディーガードがやってきて追い払うようになったが、それでも不幸は終わらない。
ドラマか映画に出てくるような無駄に手厚いボディーガードなどに警護され満足に遊びに行くことも出来なくなった挙句、重要人物保護プログラムという良く分からないプログラムの適用を受けて引っ越さざるを得なくなった。友達や近所の人、果ては両親まで強制的に引き剥がされ、ただあの人の家族であるという理由で全ての居場所を勝手に変えられた。血縁というその繋がりが、箒にとっては姉の残した最悪の置き土産だった。
姉の友人だったチカさんはいろいろ世話を焼いてくれたが、中学にもなると忙しいのかほとんど顔を出さなくなっていた。同級生で共に剣の腕を鍛えた一夏も、よく遊びに来てくれた千冬も、辛い時にはいつも一緒に居てくれた姉も、皆居なくなってしまった。その孤独は、まだ社会を知らない子供の箒にとっては耐え難いものだった。
周囲の自分を見る目も変わった。天才の妹だ何だと人の気も知らないでしつこく聞いてきて、何をしても周りからは「篠ノ之博士の妹」という声が絶えない。天才の妹なんだから、天才の妹なのに、天才の妹って・・・私とあの人は違うのに、どうせ誰も私の事を見てはくれないのだ。その事実は次第に箒という少女を蝕み、攻撃的で歪な人格へと変えていった。元々人付き合いが得意ではなかったことも相まって、箒の周囲にはだれもいなかった。度重なる転校の所為で心中を吐露する相手が居なかったこともそれに拍車をかけた。
箒はその身に降りかかる数々のストレスと無責任にも一人で行方をくらました束に対する怒りをすべてぶつける様に剣道にのめり込んだ。中学では剣道部に所属し、友達もつくらず頑なに心の壁を張り、鬱陶しい周囲から距離を取った。獣のように激情に任せて剣を振るい、対戦相手を全て叩きのめすように打ち負かした。
剣を振るい、相手を倒すことで、鬱屈した心が少しだけ晴れる。ややこしい現実から目を逸らすことが出来る。それは弱者を虐げて悦に浸っているのと同じこと。気に食わないものを片っ端から壊して、ただ感情の赴くままに暴れる狂戦士・・・当時の箒は、まさにそんな風だった。その強さと他者を寄せ付けぬ剣呑な態度に、彼女に近寄ろうとする者は誰もいなかった。
そして、とうとう教師も止められないほどに歪み、対戦相手に怪我を負わせようとも顔色一つ変えなくなった頃―――あの人が現れたのだ。
短めに刈った茶髪に人の良さそうな笑顔。見覚えがない事から恐らく上級生なのだ
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