第一幕その九
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第一幕その九
「鳥の化け物か!」
「肌が真っ黒だ!」
「怪物だ!」
「悪魔だ!」
「逃げろ!」
モノスタトス達は一目散に逃げ去った。後に残ったのはパミーナとパパゲーノだけだった。パミーナはとりあえず助かったことは自覚した。
「助かったのね、私は」
「恐ろしい奴だったな」
パパゲーノはまだ驚いていた。
「あんな姿形の人間なのかな、それは」
「あの」
「いや、まだ信じられない」
まだパミーナには気付いていない。
「あんなのがいるなんて」
「あのですね」
「あっ!?ああ」
ここでやっと彼女に気付いた。それで顔を向けた。
「何かえらく可愛い娘だな」
「どなたですか?一体」
「おいらはパパゲーノっていうけれど」
「パパゲーノさんですか」
「あんたは一体?」
「パミーナです」
彼女はそのまま名乗った。
「お母様は夜の女王ですけれど」
「そうか、じゃああんただったんですね」
「私だった?」
「はい、おいらはその使いです」
一応恭しく一礼はした。
「女王様の」
「それじゃあ私を助けに来てくれたの?」
「はい、そうなります」
「有り難う・・・・・・」
パミーナはそれを聞いてまずはほっと胸を撫で下ろした。
「これで」
「はい。それじゃあ今から逃げましょう」
「ちょっと待って」
だがここでパミーナはパパゲーノに問うのだった。
「貴方の名前は?」
「おいらのですか」
「ええ。その名前は何というの?」
こう問うのだった。
「貴方の名前は」
「パパゲーノといいます」
「パパゲーノ?聞いたことはあるけれど」
「ああ、おいらのこと御存知だったんですか」
「聞いたことはあるわ」
それはあるというのだ。
「けれど会ったのははじめてね」
「そうですね。おいらもお姫様に御会いしたのははじめてです」
「そうね。本当に」
「それでなんですけれど」
ここでさらに話してきたパパゲーノだった。
「とにかくここから逃げましょう」
「ええ、そうね」
「それにしても」
パパゲーノはここでパミーナの肖像画を出してきた。パミーナはそれを見て。
「これは私だわ」
「はい、そのままですよね」
「何故その肖像画が?」
「話せば長くなりますけれどいいですか?」
パパゲーノは一旦こう断った。
「そもそも私がここに来た理由はです」
「ええ。どうなのかしら」
「おいらは今日も捕まえた鳥をお納めに侍女の方々のところに行きました」
「三人の侍女達のね」
「はい、そしてそこである方に御会いしました」
話すことは正直だった。実は錠のことで懲りていたのだ。
「日本から来た王子様で」
「日本?あの東の果てにあるっていう?」
「ああ、そういえばそう仰ってました」
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