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SAO─戦士達の物語
GGO編
百二十一話 墓参り 弐
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は……やっぱり、この人に復讐なんて、出来そうにない……身勝手な私で……ごめん』
そう思って、正面を向き、駆けだす。
そんな頭の奥に、小さな、声。

──良いよ、スィ──

声の主が誰なのか、気付くよりも前に、アイリは走り出した。

────

「ったく、彼奴散々連れまわしやがって……」
悪態をつきながら、涼人は住宅街の中を歩いて居た。
あの後、美羽に散々いろいろな場所に連れて行かれ、しかも内幾つかは強制的におごらされた。

ちなみに現在いるのは埼玉県川越市。自宅の近くだ。今日は駅まで自転車では無かったので、徒歩だ。

「はぁ……」
一人で歩きながら溜息をつき……ふと、考える。

『“ずっとそばに居て欲しい”って言ったら……君は、私の気持ちに答えてくれる?』
完全に、不意打ちだった。言われて、言葉に詰まった時点で、自分の負けだ。そして同時に、もう一つの言葉もまた頭の中に響く。

『相手も居るんだし』
「…………」
今までは、考えないようにしてきたつもりだった。だが……自分はもう19で、彼女は同じ年齢だ。
例えば来年、互いが成人した時。例えば、今いる学校を卒業する時、この先、いくらでも、彼女が“それ”を言いだす可能性のあるタイミングはある。
しかしもし……そうなったら?

『…………っ!』
頭の中で、幾つもの言葉と、自分の知る事実が反響する。
幾つもの出来事と、思い出、不幸、幸福、罪、喜び、悲しみ。積み重なった時間の上に在る今。そして更に積み重なった先に有るはずの……未来。

何時の日か、もし本当に彼女に“それ”を口にされる時がきたら……その時……

『俺は……』
其処まで考えて……不意に、背中に気配を感じた。

「っ……!?」
反射的に振りかえる。

「…………」
何も居ない。しかし……

「……俺は、馬鹿か」
感じた気配の質量は本物で、きっと今も、自分を殺したがる人間がこの世界の何処かには居るだろう事を、涼人は勘から感じ取る。
頭の何処かの冷静な部分がそれら全てからの復讐を、自分は受け入れなければならない事を自らに告げている。其処までを考えて、

「…………あ」
不意に、目の前にちらちらと白い物が舞った。

「……初雪か。早いな」
見上げると、後から後から、白い物が涼人の下へと降り注ぐ。
記憶の底に、それと同じ光景を見た記憶が思い起こされて……同時に思い出す。

そう。きっと誰かが、自分に、リョウコウに、桐ケ谷涼人に死んで欲しいと願っている。例えば……

「彼奴見てぇに、か……」
そう言って、涼人は歩きだした。

白く舞う雪が霞ませる街灯に薄く照らされた景色の向こうへと消えて行くその背中は、ほんの数年前に、たった一人で幾つもの死線が交差する世
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