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鋼殻のレギオス IFの物語
十七話≪真≫
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少戻り、最初から比べれば随分と聞こえやすくなってきている
 ゆっくりとこちらに歩いてきた彼女の、未だ少し掠れながらも年相応で、高く透明な声が耳に届く
 
「ええと、その……レイフォンです。えっと、君の名前は?」
「アイシャ……アイシャです。その……ありがとう、ございます」
「アイシャちゃん……でいいのかな? 助けられた良かったよ」
「アイシャで、いいです」
「僕もレイフォンで良いよ。それと、その……年の近い子に敬語で話されるのってちょっと苦手だから、普通に話して」
「……は……分かっ…た」

 小さく頷いたの確認してレイフォンの表情が緩む

「はは、アイシャはレイフォンが気になってしょうがないみたいだね。じゃ、名前も知ったことだし続けようか。……その前に、レイフォンとアイシャ。時間もあれだし、寝たければ君達は寝て貰っても結構だよ。特にアイシャの方は疲れていて眠そうだしね」

 その言葉に横にいるアイシャを見れば、確かにどことなく眠そうにしている気がする
 確かに、長い間あんな空間にいて助かったというのなら、精神的な負担などから疲れていても可笑しくはない

「寝た方が良いと思うよ。シンラさんの話は聞く価値ないから」
「……君も僕に対して言うようになったね。距離が近くなったと喜ぶべきか、悲しむべきなのかな。とりあえず覚えておくといい」

 単純にアイシャにとっては聞く価値が無いと言う意味だったのだが、シンラは誤解したらしい
 が、訂正すべきかと考えていると袖を引かれたのでそちらを向く
 横にいたアイシャが、小さく袖を引っ張っていた

「レイフォン、は…?」
「えーと、僕はまだ……」
「懐かれているね。一緒に行ってあげたらどうだい? そもそも、寝る場所用意してないから今日は一緒に寝て貰う予定だし」
「おうそりゃいい!」
「なん……だと……!?」

 シンラとその周りの言葉にレイフォンは驚愕する
 確かに、普段使われていない部分は荷物スペースになっている。戻って来てからその部分を片付けているのを見ていない
 周りを見渡せば皆面白そうな目をしている

(こ、この人たち……絶対手伝ってくれない???ッ!!)

 今までの付き合いから、この状況になった彼らが手伝ってくれるとは思えない
 もし、空きスペースを作るために片付けようとしたなら、邪魔さえしてくるだろうことがレイフォンには確信できる
 文句を言おうにも、袖をつかんで離さないアイシャが傍に居る状態では言いづらい

「あんな状況にいたわけだし、今日ぐらいは助けた君がいた方が精神衛生上良いと思うんだが」
「……くっ」

 そうシンラに言われ、返す言葉が出ない
 正論は正論だが、なら口元を歪めながら言わないで欲しい

「必要ならエリ
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