十七話≪真≫
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を口から垂らし咀嚼をする前で、上を失った体が重力に引かれ静かに倒れる
彼女の見ている下で地面が赤く染まる
必死の思いで男性は走って逃げる。ヒィ、ヒィと整わない息を吐き、全力で走る
既に限界は越え、体は疲労を訴えている。だが、それでも恐怖から動く体は止まらない
だが、それ以上の速さで空から迫る影に男は気づく。背後へと視線を向けた先の巨体が段々と近づき……
……グチュ
逃げる餌を止めようとした汚染獣の巨体に地面とサンドイッチされる
平たく、中身が散らばり赤く染まってゆく地面に汚染獣は口を近づけ、足元の残骸を咀嚼していく
彼女の耳に濁った悲鳴が届く
親とはぐれた子供が親を求めて歩き回り、叫び声の轟く中化け物に出会う
弱い餌を見つけた汚染獣は近づき、恐怖に逃げる事の出来ぬ子を押さえつけ、口を開く
ゴキ、と腕が食いちぎられる。子は痛みに泣き叫び、親を求める声を上げる
グジュ、ブチッ、と腹が喰い破られる。腸を外気にさらされながら、不幸にも心肺は無事な子供は死ぬことが出来ない
冷たく鋭い牙が突き刺さる。グジュグジュ、と目の前の存在が腸を喰い破り、ぶよぶよした細長い物を垂らしながら咀嚼していく
ア゛ッ、ア゛ッ、ア゛ッ……
少しずつ、少しずつ削られる様に喰われていく子の声は既に濁り枯れ、親の助けを求め続ける
彼女の知る守り手が地に倒れる
平時は機関部を掃除していた事もある武芸者は、街中で襲われる民を守ろうと単身汚染獣に向かう
跳ばされた剄は外装で止められ肉に届かず、振るう一打は致命に届かない
明らかに味方の数が足らない中、それでも民を守ろうとした彼は、無力な民に向かおうとした汚染獣を止めるために間に入り、巨体に飛ばされる
動かぬ体を叱咤する彼は、守ろうとした存在が喰われていく様を見せつけられ無力を嘆いた
最後の砦であるはずのシェルターは幾度もの巨体による突進を受け、既にその役目を果たしていなかった
歪に空けられた穴からは汚染獣たちが入り込み、彼女の愛する民をひたすらに抉り、潰し、咀嚼していく
安全なはずのそこは、只々無力な人々を集めた、汚染獣他にとって都合のいい餌場に成り果てた
シェルターに間に合わぬと家に駆けこんだ者達もいた。臭いに気づいた汚染獣の突進で家ごと潰された
汚染獣を殺した武芸者もいた。続く連戦に耐えられず、押しつぶされ地面の模様になった
親子で逃げている家族もいた。傷で動けなくなった親は、目の前で愛する我が子が喰われていく様を見せられた
耐えきれず出てきた彼女に気づき、助けを求めた者もいた。手の届く直前、彼女の見ている前で空から降ってきたモノに喰われ、頭を無くしたそれは彼女にぶつかり赤く染めた
叫び声が轟き
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