暁 〜小説投稿サイト〜
牙狼〜光の王国〜
出逢
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勇者が現れる……黄金の狼が闇を切り裂く……昔はそんな伝説信じていなかった。
今も信じてはいないが……でも今は少しでも可能性があることを試したかった。

光の国トワイライト王国……多くの人間が住み、戦いとは一切無縁であった……数日前までは……。
数日前に現れた、エルフ族の男ルシファーは私の全てを奪っていった。
もはや光の国と呼ばれたトワイライト王国の面影はない……今は邪悪な魔王「ルシファー」が支配する、暴力と犯罪、闇が蔓延した影の国となってしまった。
元トワイライトの王国の姫だった私は家族や国を奪い、国民を塵のように扱うルシファーを到底許す事はできない。

でも私一人ではどうすることもできないのが目に見えている。
非力な自分が情けなかった……言い伝えにある勇者や黄金の狼たちが現れるのを待つことしかできない。
しかも、それは単なる言い伝えで本当に現れるかどうかも疑わしい。
今は身を潜め、好機を窺うしかない。

______________________________________________

俺は……どうなったんだ?……。

そして、ここはどこなのか……。

見渡す限りの平原が広がっている……。

バクギとの戦いが始まろうとしたとき、光の輪が飛来し、それに呑み込まれた後の記憶が一切ない……夜の森の山間部にいたはずが、目の前にファンタジーの世界を絵に描いたような、晴れ渡る空と平原が広がっていて、俺は呆気に取られていた。

「ザルバ、ここは何処だ?」

こういう時に頼りになるのが、共に修羅場を潜り抜けてきた戦友のザルバだ。
ザルバは俺の指に嵌っている髑髏を模した指輪のことだ。

「どうやら、あの光のせいで異界に飛ばされたようだ。バクギのオマケつきでな」

頭の中で理解しようにも、混乱して整理できない。

どう見たって、自分がいた世界ではないのだから。

とにかく、今はバクギを撲滅する事だけを考えよう……元の世界に戻れる方法を見つけるのはのはそれからだ。

「ザルバ、バクギの居場所はわかるか?}

「いや……完全に気配を見失った。この世界に飛ばされたことは間違いないんだが」

「そうか……」

となれば、地道に探していくしかない。

ここで突っ立っていても埒があかないので、俺は足を前に進める。
土地勘も地図もなく、何処に向かっているのかは分からないが何も行動しないよりはマシだ。
しかし今日の寝床に食事など、問題は山積み……これでは先が思いやられる。

どこからか、歌声が聞こえてくる……美しくも優しいその歌声は自然と涙が出そうなくらいだ。

「この歌声は?……」

その声に導かれるように、俺は足を進めた。
すると、俺の肩位の高さの岩の上に十四五歳の幼い
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